システム機器部の鎌田洋平氏は営業担当。今は海外のレーザーメーカーとの新プロジェクトを手掛けている。

個人の営業成績が全社公開されることは励みになります(鎌田氏)

 「鎌田はプロジェクトの一切を仕切っていて、子会社の社長と言っていいレベルだ。私が知らない間に計画は順調に進んでいて、『近々取引先を呼んでセミナーを開くので、冒頭の挨拶をしてほしい』と頼まれた。トップが社員を使うのではなく、社員がトップを使う。社員はどうトップを使うかに非常に長けている」と近藤会長は顔をほころばせる。

働きやすさを保証

 なぜ仕事の範囲を明確に定めていないのに、権限委譲がうまく機能しているのか。それは、日本レーザーが社員に徹底的に優しく、徹底的に厳しい会社だからだ。

 社員の雇用や働きやすさを保証する。その代わり、人事評価は実力主義を導入。評価に不満を持つ社員がいないよう、公平性を担保する。これにより優しさにあぐらをかくことなく、自律した社員が自身の力をフルに発揮する。

 優しさと厳しさと公平性。この3つを極めれば、実は権限の範囲や報告のルールなどは必ずしも必要ない。ただし、中途半端では駄目。極めるというのがどの程度のものか、これから説明しよう。

雇用を守るため社員を教育

 まず、「優しさ」から。日本レーザーでは、社員を会社の都合で辞めさせることがない。社員が育児や介護、病気などでフルタイムで働けないなら短時間労働や在宅勤務に切り替えて雇用を守る。本人が望めば70歳まで再雇用し、いずれは80歳まで延長する考えだ。

 このため雇用契約は個々のライフスタイルに応じて個別に管理している。例えば、販売促進部の橋本和世氏の場合、パート社員として入社してから、子育てなど家庭の事情に合わせて、在宅勤務の嘱託社員、フルタイムの正社員へと雇用形態を変更している。

会社が私の都合に合わせてくれる。働きやすい職場です(橋本氏)

 「今はフルタイムで働く一方で、月2回の在宅勤務を認めてもらっている。個人的な都合に会社が合わせてくれるので、とても働きやすい」(橋本氏)。

 このほか、別の会社に勤務する配偶者が大阪に異動になった社員がいたので、日本レーザーの大阪支店に異動させたり、病気療養中の社員を欠勤扱いにせず、給料を払い続けたりしたこともある。

 亡くなった社員の子供を職場で預かり、勉強を教えていたこともあった。ここまでするのは、社員に何があっても、どんな状況に陥っても、会社は社員とその家族を守るという信念があるためだ。