
こうした経緯もあって、社員が出し合った強みのうち、似た内容を整理すると、チェーン店の出退店支援サービスに行き着いた。
最大の強みは「経験がある」ことだ。チェーン店を自社で出したり、閉めたりした経験があるため、顧客の目線で最善策を提案できる。
出退店の経験をフル活用
具体的には、新店を出す際、どの場所に看板を掲げれば歩行者やドライバーからの視認性が良いのか、大きさはどの程度が適切かといった内容を的確に提案し、実際の看板の設置までする。
店舗開発担当者が新規出店場所を社内の会議に諮る際の提案書も作る。DPE店チェーンだけあって、写真データをパソコンで編集・加工できる社員は多い。既存店の写真データなどを加工した店舗完成イメージと地図を絡め、看板の向きや駐車場のサインポールの位置を分かりやすく示す。こうした芸当はお手のものだ。

「自分たちも新規出店の検討会議で資料を作って議論してきたので、経営陣がどんな情報を知りたいかがよく分かる」と大塚は語る。
このほか、実際に内外装の工事自体はもちろん、大家との手続きや交渉なども自社で経験済みのため、アドバイスが可能だ。
退店に関しても、自社で何度も経験しており、法律に従って、どの辺りまで出店前の状態に戻せばいいかなどを助言できる。
こうしたサービスが、価格は割高でも、内容がきめ細かいと評判を呼び、チェーン店から仕事を受けるケースが着実に増えている。
「価格が折り合わず、こちらで仕事を断ったチェーン店から、サービス力を見込んで再度頼まれることもある」という。これこそ、大塚が当初思い描いていた通りのオンリーワン戦略。価格決定権を握れる状態になった。
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