内山社長は、再度新たな事業分野の開拓に奔走した。その過程で、同大学院大学が主催するレーザー技術を使ったものづくりについて学ぶ講座に参加。そこで知ったのが、プラスチックをごく薄いガラスで挟んだ複合素材の切削工具のニーズだ。

従来の工具にもレーザー技術を応用(写真:上野英和)
従来の工具にもレーザー技術を応用(写真:上野英和)

 異なる材料からなる薄い板を切るには、特殊な工具が必要だ。内山社長は、講座後の懇親会で、複合素材用の工具が作れないかと、あるメーカーの受講者に相談されたのだ。

 新たな商機を見つけ、工具製造に必要な機械のカタログを調べた。しかし価格は1億円以上。自己資金で賄うにはリスクが大き過ぎた。そこで考えた結果が、補助金の活用だった。

工具の製造から開発へ

 13年6月に中小企業庁の「戦略的基盤技術高度化支援事業」(通称サポイン事業)の申請をした。ところが結果は不採択。技術面、事業化プランの両面で内容が不十分という理由だ。

 「技術と経営の両方の指導者がいる大学院に行って助けを借りよう」──。内山社長はすぐに同大学院大学の入学を決意した。

 研究テーマは、レーザーを使って工具を作る技術とその事業化。教授らのアドバイスを受けて再度補助金を申請した結果、14年に採択が決まった。教授らと共同で独自のレーザー技術を使った設備を開発して、自社工場での稼働も始まった。

 大学院で内山社長が得たものは、それだけにとどまらなかった。教授や学生を通して、それまで縁のなかった大手の機械メーカーや素材メーカーなどとのつながりができたのだ。「(入学前には)あり得ないネットワーク」(内山社長)だった。

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