そこで、朝5時に起きて、会社に飛んで行きました。休憩室に入り、お茶を沸かして、運転手を待ちました。しばらくして、夜勤明けの運転手が入ってきます。そこで、お茶を入れてあげると、彼は驚いて「ホンマにいいんですか?」と手を震わせていました。

 このようにして、2、3人が来るのを待って、話をしたんです。

 「このままだと、会社はつぶれます。皆さんにも迷惑が掛かります。できることをしましょう」

 ああ、これが教育だなと思いました。2、3人でもいい。飲む時でも、遊ぶ時でも、食べる時でも、社員と一緒にやること、話しをすること。中小、零細企業の社員教育は、それでいいんですよ。

ウチの運転手、見事にやりよりました

 運転手と、経費削減について一生懸命考えました。部品代をどうしたら減らせるか? どうしたら燃費を上げられるか? どうしたら車を長く持たせられるか? 徹底的にやりました。そうしたら、給料5万円上げた内、2万円相当分のコストが下がりました。

 それから、今度は売り上げを伸ばそう、と話し合いました。当時は、乗車拒否全盛の時代。そこで、「近距離でも何でも、とにかく、お客様が手を上げたら止まりなさい」と言い続けたんです。

 ウチの運転手、見事にやりよりました。

 同業者が「そんな近いところは、後ろのMKに乗ってくれ」と言うようになりました。それで、京都中に評判が立ちました。

 「MKは親切で安心だ。近い所でもあんなに親切だったんだから、遠い所もきっとそうに違いない」

 “選ばれるタクシー”へのスタートでした。

 そうすると面白い。4万円の水揚げが上がりました。コスト削減分の2万円を足して、6万円のアップです。5万円賃金を上げても、会社に1万円残りました。

 こうして、住宅と給料、生活環境を良くして、余裕を持たせた。そうしたら欠勤や遅刻が減り、事故も少なくなりました。
 ようやく、まともに教育ができる状態になったんです。

 さぁ、いよいよ教育ですが、私は、挨拶の徹底から始めました。朝一番に会社に行って、運転手に挨拶します。しかし、初めは誰も返事をしない。10年続けてやっと返事が返ってくるようになった。そして、お客様にも挨拶ができるようになりました。

「そんなことできない」と言って、辞めていく運転手もいました。それは、つらいことでしたが、とにかく辛抱し、やり続けました。