昔は能力や視野が足りなかった

その柳井さんから2002年、玉塚さんは社長を任されました。しかし、柳井さんの求める成長スピードに乗せることができず05年に退きます。当時と比べて経営者として変わった部分はありますか。

玉塚:あのときは39歳で社長になりました。柳井さんというすごい経営者の後を受け、そのときには自分としてベストを尽くした。でも、今思い返すと、やっぱり能力や見えていた視野など、足りない部分がたくさんあったと思います。

 経営者としての腕は、経験を踏んで磨かれる部分がある。考える幅や視野の広さ、情報をつかんで反応する感度の高さ、ピンチやチャンスへの対応などは、繰り返し経験を積めば間違いなく上達すると思います。

 その意味では、早くから経営者をやったほうがいい。リーダーの素養がある人を30代で子会社のトップに据えたりしてね。結局、変化の激しい時代にはリーダーシップある人がトップにいないと、イノベーションは起きない。

柳井さんからは多くのことを学んだ。

玉塚:一番影響を受けていると思います。ビジョナリーだし、絶対諦めない。ものすごく顧客起点だし、嗅覚があってスピードと実行力もめちゃくちゃある。

 経営者に求められる条件は究極のところ、3つに集約される気がします。まず情報を得たときにビジネスチャンスとして捉える嗅覚。2つ目は実行力。嗅覚が優れていても、実行しなければ前に進まない。そして最後が巻き込み力。リーダー1人でできることには限界がある。だから、ビジョンを語って周囲を巻き込んで事業を広げる。

玉塚さんが考える、いい会社とは。

玉塚:いろいろな要素がありますが、やはり第一に顧客起点であることでしょうね。お客様がいて、市場があって、そこで提供する商品やサービスが評価されて初めて企業は対価を得ることができる。

次ページ 大組織はスピードが出にくい