旭人氏はこう話す。「僕はどちらかというと理論を積み上げていく役割だが、理屈を超えた力を集めるのは父でなければできなかったこと。父が発信するメッセージの伝わる力はものすごく大きい。ここまで注目を浴び、力を結集できたのはクラブの顔としての役割を父が十二分に果たしてくれたからだと思う」。

 その一方で、「髙田明が目立つクラブのままではいけない」とも言う。明氏が創業したジャパネットを旭人氏が引き継ぎ、順調に成長させているように、V・ファーレン長崎もカリスマ的な社長が引っ張る会社ではなく、社員が主体的にミッションを持って前進していく会社に変えていく必要がある。それにはもう少し時間がかかるだろうが、ジャパネットがそうだったように、2、3年で核になるメンバーが育つはずだ。

 シーズン終了後、旭人氏は選手全員を3人ずつぐらいに分けて、来期の目標について5分ずつディスカッションしてもらった。現状に満足することなく、高みを目指してもらうためだ。

想像を超えると、人は感動する

 このとき、ほとんどの選手が「J1残留」を挙げた。そこで旭人氏は「もう1つ聞くけど、来年どうしたら世の中の人を感動させられると思う?」と質問した。するとACL(AFCチャンピオンズリーグ)出場という答えが返ってきたという。

「だったらACLを目指そうよ。J1に残留するだけでは誰も感動しない。みんなの想像を超えることをしないと感動は生まれないよね。J2の選手がJ1の選手になって、J1の選手がACLに出る選手になって、日本を代表する選手になってという夢を僕らで実現しよう」。旭人氏はこう話した。

 旭人氏はこれから10年、20年の長きにわたって、V・ファーレン長崎に関わっていく考えだ。旭人氏にとって、V・ファーレン長崎の売り上げを伸ばすことが第一の目的ではない。リーグ優勝や日本一というレベルにとどまらない、唯一無二のチームをつくることを目指している。

 今シーズン、日本ユニセフ協会に新ユニホームのトップパートナーになってもらい、背中にロゴが入ることになった。