明氏も旭人氏も、監督や選手、スタッフとできるだけ多く接点を持つように心掛けた。「特に体制が変わったばかりの頃は、みんな不安がっていると思ったので、どういう考えで経営をしているのかをきちんと伝えたかった」。

 選手とは何度か食事に行ったし、会場にも15回ほど足を運び、試合前の送り出し(スターティングメンバーがピッチに出るときに、監督や控えの選手などがハイタッチで送り出すこと)にも参加した。

「選手に『良くなった』という実感を持ってもらわなければ意味がない。現場の正直な声を聞きたいが、選手もそれほど気軽には経営側にものを言えないと思う。だからできるだけ話しやすい雰囲気をつくるように努めた」

持てる財産をフル活用

 ジャパネットのリソースや旭人氏の人脈をフルに活用し、選手の身体とメンタル、食事と睡眠にも手を尽くす。

 例えば、ジャパネットで商品を取り扱っている健康計測機器メーカーのタニタと食生活サポート契約を締結。同社が考案したアスリート向けの食事を提供する。寝具メーカー、エアウィーヴとは睡眠サポーター契約を結び、選手や監督にマットレスパッドとクッションを提供してもらっている。

 選手強化に関しても、高木琢也監督や強化部の責任者と旭人氏が密にやり取りして決定した。

「監督などが直接オーナー会社の社長とやり取りすることは、他のクラブではあまりないと思う。ただ、僕が『この選手を獲りたい』といった主張をすることはない。何か意見をするというより、ファンが何を望んでいるかを監督らに伝え、それに対する考えを聞いて、意見をまとめている」

 他チームでの経験がある選手が「強烈なトレーニングメニュー」と驚くくらい、チームはタフな練習を続けてきた。「こうした土台があるからこそよりチームが強くなった。父や僕や社員が、それを少しだけ加速させるサポートをしたのかなと思う」。

 昨シーズン中、明氏に話を聞くと「自分で一から会社をつくるのとは全く違う。再生は想像した以上に難しい」と厳しい表情で話したこともあった。明氏が今回の躍進に果たした役割とはどんなものだったのか。