「V・ファーレン長崎の選手はナイスガイばかり。そんな彼らにJ1を経験させたいというのが、僕自身の大きなモチベーションになった」と話すジャパネットホールディングスの高田旭人社長 兼 CEO(写真:鈴木愛子)

 スタッフの選考は旭人氏が率先して取り組んだ。支援を表明した記者会見の10日後、旭人氏はジャパネットの全社員約750人に「V・ファーレン長崎を一緒につくっていきたい人は手を挙げて」とメールを送った。旭人氏が直接、社員に呼び掛けたのは「思いがある人とやりたかった」から。旭人氏のメールに、40人近くから返信があった。そこから社内で調整し、選抜したのが今のスタッフだ。

「V・ファーレン長崎を変えるには、やはり人が重要。ジャパネットのメンバーが思いを持って正しいことをすれば、必ずうまくいくと思った」

まず選手の不安を払拭

 5月には新体制が動き出した。旭人氏が強化・育成、明氏は運営、スポンサー・行政対応の担当と役割を分けた。

 社長に就任した明氏はまず一番に、選手の前で「自分たちがしっかりサポートするから安心して試合に専念してほしい」と明言した。

 それまで「給料はきちんと払われるのだろうか」「このチームは今後どうなるのだろうか」という不安から、選手たちはプレーに打ち込める状態ではなかった。この不安を真っ先に解消し、チームに落ち着きを与えるためだ。

 旭人氏は選手たちの士気向上を狙い、環境の整備に着手した。「とにかく毎週、選手が何か変化を感じられる取り組みをしていこうとスタッフと話していた」。

 取り組みの一つひとつは地味。例えば、フリーキック練習用の壁を新しくした。「何か困っていることはない?」「フリーキックの練習用の壁がぼろくて」「すぐに新しいのに買い換えたらいいじゃん」「いいんですか!」「すぐ買おうよ。それでゴールを決めてくれたら、安いものだよ」。旭人氏と選手とのこんな会話がきっかけだ。

 他にもある。「『練習着がくさい』『枚数が少ないので、毎日洗濯をしないといけない。時間もかかる』と言うので、すぐ新たに練習用ユニホームを1人につき3着用意。業務用の洗濯機と乾燥機をクラブハウスに入れた。選手は『めっちゃ良くなった』と喜んでくれた」。