退職を促された古参幹部の中には「私を辞めさせれば、会社が回らなくなる」などと豪語して承諾しない人もいた。しかし、福島はいたずらに反論せず、そうかといって譲歩もせず、言葉を選びながら丁寧に会社側のルールを繰り返し説明した。

 当時、グループのゴルフ場「鹿沼72カントリークラブ」の営業部次長で40代だった山本明(現・常務)には、忘れられない光景がある。今後の経営再建策を話し合う幹部会議が開かれた。しかし、会議の進行役を務める福島を遮るかのように、ある古参幹部が「経営がおかしくなったのは自分のせいではない」と言い出し、収拾がつかなくなった。

常務が古参幹部を一喝

常務の山本は、古参幹部の罵倒にも真摯に対応する福島に共感し、支え続けた

 福島は一切、反論することなくすべてを受け止めた上で「みんなで経営を立て直しましょう」と応じて会議を続けた。その姿勢を目の当たりにして感銘を受けた山本は、会議が終わった後、くだんの古参幹部に「貴様は、社長が前向きな話をしようとしているときに、なぜ何も生まない過去の話ばかりするんだ!」と、たまらず一喝していた。

 一事が万事この調子で、古参幹部の抵抗は激しかった。しかし、物腰は柔らかながら、福島の態度はぶれなかった。しっかり仕事をしてくれる役員には残ってもらうが、会社にぶら下がることだけを考えている役員の要求は拒否するという一線は守り抜いた。従わない役員には、規定を違反しているので報酬の支払いを止めた。ここまですると、さすがに大半が会社を去った。

(次回に続く。この記事は「日経トップリーダー」3月号に掲載した「企業ドキュメント 鹿沼カントリー倶楽部」を再掲載したものです)

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