不景気になって夫の給料が減れば、晩酌でビールを2本飲んでいたのを1本にして支出を減らす。でも、子供の教育や家を持つといった将来の備え、資産形成などは頑張る。経費を収入の範囲に収めながら、投資にも目を配る。そういうやりくり経営のことだ。
そして「千切り経営」は、何か問題が起きたら、それを小さく切り刻めということ。難しそうに思えるものでも、小さく切り刻んで対処していけば、問題解決の糸口は見つかるというものだ。
日本電産の家電産業事業本部長でもある大西徹夫副社長は最近、事業の管理単位を大幅に小さくした。
所管する家電・商業・産業用モーター事業の売上高は約3100億円(17年3月期)。今年初めに米産業用モーター大手エマソン・エレクトリックから英仏子会社を買収したことなどで、今期は4000億円を突破する見通しだ。
大西副社長はこれに伴い、従来4つだった事業本部内の管理単位を今年下期から一気に14に増やした。売上高では1ユニット当たり100億~500億円。狙いは小さく分けて「1日、1週間、1カ月単位で収益を細かく管理し、収益計画に届かない場合、すぐに対策を取るといった機敏さをつける」(大西副社長)ことだ。
この取り組みは千切り経営の一種であり、管理単位を小さくすることでよりきめの細かい改善提案も出やすくなるという面では、井戸掘り経営でもある。
拡大しても管理は小さく
日本電産の経営は、「規模は大きくしても管理は小さくする」という独自の方向に向かっている。この考え方は中小企業にも参考になるはず。中小といえども、事業が大きくなり管理が行き届かなくなったら、もう一度小さく分けて千切り経営を実践するといい。
日本電産本体だけではない。
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