「情熱・熱意・執念」
 「知的ハードワーキング」
 「すぐやる、かならずやる、出来るまでやる」

 ヒト、モノ、カネもない頃から永守社長は「24時間は誰にも平等にある」と周りを鼓舞した。人材も資金もないなら、他社の倍働いて乗り越えればいい。徹底した熱意とやる気で困難を突破する。それを繰り返し訴え続け、社員と共に働いてきたのだ。

 「いつの間にか、同じ考え方が頭にすり込まれた」。古参幹部の一人、日本電産シンポの井上仁取締役専務執行役員がこう苦笑いするほど、永守イズムが浸透しているからこそ、叱り、叱られるという関係が成り立つ面がある。

三つ褒めて、一つ叱る

 ただし、若手社員に向かってはそこまで厳しく言わない。「1年くらいかけて、相手のものの考え方や反応の仕方などを調査・観察して、叱り方を検討してから」と永守社長。ただし、叱ることを忘れているわけではない。

 「最初は三つ褒めて一つ叱る。途中から三つ褒めて二つ叱る。さらに次は三つ褒めて三つ叱る。このようにして、叱る比率を褒める比率にだんだん近づけていく」

 永守イズムを浸透させつつ、永守社長自身も、世界のグループ企業を毎月のように回りながら指導するほど働き続ける。その懸命な努力が、叱責の裏の迫力になっているのも間違いない。

(この記事は「日経トップリーダー」2017年12月号に掲載した記事を再構成したものです。数字などは掲載当時のものです)

 あなたは、本当の仕事の勝ち方を知っているか? パワフル経営者、永守重信氏が「部下の耳にタコができて、そのタコにまたタコができるくらいまで、私は言い続けた」という門外不出の名言録を初公開!

 世界一のモーターメーカー日本電産。その創業者、永守重信会長兼社長CEOは仕事における「勝ち方」を熟知している。日本電産社内で門外不出とされてきた名言録をはじめ、永守氏の珠玉の100の言葉から、仕事の極意を抽出。「仕事と情熱」「人と組織」「教育と成長」「上司と部下」「経営者と志」「変化と創造」の6つのテーマで、氏を長く見てきた経済誌記者が分かりやすく解説する。

 新入社員から経営幹部まですべてのビジネスパーソンが体得したい「普遍的な仕事術」を学ぼう。

≪主な内容≫
第1章 仕事と情熱
第2章 人と組織
第3章 教育と成長
第4章 上司と部下
第5章 経営者と志
第6章 変化と創造
第7章 永守と名経営者たちが共通して抱えるもの

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