そうなると多くの場合、非主力事業に携わる社員はモチベーションが上がらず、事業は伸びないという悪循環に陥りやすい。中小企業でも、中心になる事業とそうでない事業はあり、その場合は同様の状況になるはずだ。
日本電産は、ここのところをどう突破しているのか。
社員の士気を徹底して高める永守社長の熱意と、毎日の仕事の中で業務の改善を考え、勉強するように仕向ける教育の仕組みもその一つである。
社員教育の基本は「叱責」
管理職に対して、何をするのか。「社員教育の基本は叱ることに始まり、叱ることに終わる」。永守社長はこう言い続けてきた。
約束したことができない。計画に達しない場合の対策が遅い。関係者との連携力がない。部下への指示が明確ではない……。幹部にそんな問題があると見るや、永守社長は遠慮なく叱ってきた。
それは、中間管理職自身が「すぐにも社員を叱れるようにならないといけない」(永守社長)と考えているからだ。叱ることの効用を永守社長はこう強調する。
「叱るのは、経営者(上司)が関心を持っているということ。望みがあるから叱る。『なにくそっ』とやる気を起こしてくれる可能性があるから叱るのだ」。つまり、永守社長に叱られる管理職は優秀であり、頼りにされているというわけだ。
ただ、これには前段がある。永守社長が創業時から掲げてきたものに、日本電産の三大精神と呼ぶものがある。
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