永守社長は日本電産を創業以来、この言葉を一貫して口にし、そのために力を投じてきた。

 創業時のメンバーは、永守社長と小部博志副会長執行役員CSO(最高営業責任者)ら、わずか4人。人材が潤沢とは言えない中小・中堅時代を長く経験し、大企業となる過程で、利益へのこだわりを社員にどう植え付けたのか。

 それを解き明かすヒントが、永守社長と日本電産の名を世に高からしめたM&A(合併・買収)にある。1990年代半ばから本格化した同社のM&Aは当初、業績が悪い企業がほとんどだった。

 その再建の始めに、永守社長は必ずこう宣言する。

 「赤字というのは罪悪なんです」 不振企業の社員たちには大抵「この会社の売上高、利益率はこんなもの」「コスト削減も一生懸命にやったけど、できなかったものは仕方ない」といった“甘さ”がある。そこで、まず目を覚まさせる。

 社員の士気を下げているのは、低い達成度を簡単に認めてしまう会社の緩さであり、その原因は上に立つ者の徹底度の欠落にあるというのである。

士気と利益を関連づけ

 セイミツの買収後に初めて訪問した日、永守社長は、やにわに一枚の紙を取り出した。

 表題に「健全企業経営の指針」と書かれたそれには、「競争力向上策」や「実力主義の人事・賃金」など6項目に並んで「強い企業集団づくり(社員モラールの向上)」と大きく記されていた。その項に挙げられていたのは、次の9つ。

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