「現場のリーダーには『僕にお伺いを立てずに、絶対にその場で決めてくれ』と言っている。僕が途中でノーを出すのは、会社の方向性と大きくずれているときだけ。何も言わなければどんどん進めていい。ただ、報告はタイムリーにしてほしいと指示している」

 現場の状況をリアルタイムで細かくチェックすることを怠らないのは、物事が進んでしまってから社長の一言で〝ちゃぶ台返し〟となることを避け、時間のロスをなくすためだ。これを瀬戸社長はコスト削減と捉えている。

 「1カ月でやるべきものに2カ月かかると、人件費や家賃などの固定費が倍になる。一方、半月で終えれば半分になる。限られた時間の中でいかにパフォーマンスを上げ、早く設定したゴールに到達するか。これが、僕たち流の前向きなコスト削減です」

 だが、社員にスピードアップしろとは命令しない。「スピードアップというのは、目的が曖昧で最も良くない指示。『いつまでに仕上げて』と期限を決めれば自然に生産性は上がる」。

適時に決断を下し、ゴールに向かう

 目指すゴールを決めて、最短の時間で到達する。これは、主力事業であるライザップのパーソナルトレーニングにも通じる、瀬戸社長の時短術であり、経営方針だ。ゴールをビジュアル化し、具体的にイメージする点も共通する。

 実際、瀬戸社長は現場のリーダーに、比喩的に「ライザップのトレーナーになってくれ」と言っているという。

 パーソナルトレーニングのトレーナーは、落とす体重を数字で示すだけでなく、痩せた後に顧客を待ち受ける新たな世界をビジュアル化し、繰り返し顧客と共有する。

 例えばおなかが引き締まり、胸板が厚くなった格好いい自分、なりたい自分の姿だ。それをトレーニングのたびに示し、顧客を後押しする。そうすることで、顧客はつらいトレーニングを乗り越えることができる。

 現場のリーダーに求められるのも同じだ。どんな部署にしたいのかを考えてビジョンを描き、メンバーと定期的に共有する。このとき大事なのは、ビジョンを具体的なイメージで示すことだ。

 「売り上げ目標などの数字を言っても誰も心が動かない。10キロ痩せることだけを目標にするのではなく、10キロ痩せたらどんな世界が待っているかを、ありありとビジュアライズする力が重要」

 現場リーダーや社長に求められるのは、会社全体のゴールを設定し、それを社員に分かりやすいイメージで伝えることだと瀬戸社長は強調する。

 「ゴールをビジュアル化して明確にすればするほど、取るべきアクションは明確になる。ゴールを決めることは非常に効率的。だからこそ、社長はゴールについて考える時間がすごく大事なんです」

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