会議が終わって通路を歩く瀬戸社長は、すぐに呼び止められた。3分ほど立ち話をする。話しかけたのは、取締役だという。
「社員が社長に話しかけやすいような環境づくりにはとても気を遣っている」という瀬戸社長。この日は来客があるためスーツだったが、普段は、なるべくカジュアルな服を着てくることを心がけているほどだ。
社内に壁はつくらない
生の情報を常に吸い上げ、社長として正しい判断を下す。この経営哲学は、オフィスの設計にも表れている。社員の執務スペースに、ほとんど壁がないのだ。


管理部門とそれ以外を隔てる、ついたてのような壁はあるものの、フロア全体はほぼ、見渡せる。窓際には、ファミリーレストランのベンチシートのようなソファとテーブルがある。社員が打ち合わせをするスペースだ。
瀬戸社長は、自然にこの中に割り込んで、話に加わる。突然、社長がやってきても、社員が緊張して口を閉ざしてしまうことはない。「会議室で話すよりいい話になる。普段働いている場所は、みんなのフィールドですから」。

自身もいつも機嫌良く振る舞い、職場のいい雰囲気づくりに時間を割くことをいとわない。
報告書は毎日必ず読む
このように社員との会話を通した情報収集を大事にする一方で、部下から定期的に送られる報告書を読む時間も重視している。
各部門の責任者(室長・部長クラス)は、週3回ほど、事業の進捗などについて社長に報告書を提出する。これを読むために、1日2時間を確保する。
出勤時など移動中にスマホで読む場合もあるが、帰宅後、深夜になってから目を通すことも多い。
報告書を読んで気づいた点があれば、スマホの機能を使ってメモを取る。深夜に社員にメールを送るのは避け、いったん、自分宛てにメール送信しておき、翌朝、出社後に担当者宛てに送信する。勤務時間外に仕事の指示をメールで送るのは「悪いから」というのが理由だ。
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