諏訪貴子(すわ・たかこ)氏
1971年東京都生まれ。成蹊大学工学部卒業。自動車部品メーカーを経て98年ダイヤ精機入社。以降、経営方針の違いから2回のリストラに遭う。2004年父の急逝に伴い、ダイヤ精機社長に就任。経営再建に着手する。著書に『町工場の娘』、『ザ・町工場』(ともに日経BP社)がある

:中小企業はご夫婦で経営している会社も多く、女性が決定権を握っている場合が多いんですよ。

諏訪:社員もお客様の状況を把握しているのは、きちんと教育されているからですね。

諏訪:人材採用について伺いたいのですが、森さんは今、右腕となる社員はいらっしゃいますか?

:右腕はたくさんいます。いなければ経営は成り立ちませんから。

諏訪:たくさんいらっしゃるのですね! うらやましいです。私は社長に就任して今年で13年目になりますが、ちょうど今、自分の右腕を育てている最中です。森さんの人材採用と教育の考え方を教えてください。

新卒社員の最終面接はすべて私が立ち会います

:大学卒業後、私は8年間伊藤忠商事で働きました。その間にリクルーターを経験しています。また、伊藤忠には「指導社員制度」と呼ぶ1年間の新人教育制度があるんです。私も指導社員として直属の部下をじっくり育成しました。こうした経験を通して、伊藤忠のように長く続く組織は、人の採用と教育に膨大な時間と労力をかけていることを学びました。

 それで当社では新卒社員の最終面接はすべて私が立ち合うようにしているんです。

諏訪:全員!? 何人ですか?

:毎年、数千人の新卒社員の応募があって、その中から約100人を採用します。最終面接ではその倍の約200人と会っていることになります。会社経営においてはどんな人を採るかが最も重要だと思っているので、働いている時間の20%くらいは採用と教育に使っていますね。

諏訪:どのような基準で社員を採用されているんですか?

:我々の場合、一度機械を購入していただくと、数十年間のお付き合いになるので、お客様に気持ちよく添い遂げられる人材かどうかを見ています。

諏訪:コミュニケーション力を重視されているのですね。面接の時に必ず聞く質問はありますか?

:2015年から「あなたのライフストーリーを語ってください」という質問をしています。履歴書通りに語る人もいれば、「私は厳しい父のもとで育って」「父が忙しかったので祖父に育てられました」など生い立ちを語ってくれる人もいる。また、家族のことは一切語らない人もいます。答え方で人柄がよく分かりますよ。

諏訪:いいですね。私も同じ質問をしたいです。