さらに「臨機応変であること」も平成建設の採用活動の大きな特徴だ。芹澤課長が「これは」と思う人材を見つけると、すぐに秋元社長に連絡を取る。ぐずぐずしている間に他社に取られてしまう可能性があるからだ。

 是が非でも欲しいと見込んだ候補者は通常の選考ルートとは別に、秋元社長が直接会って話をしたり、本人のニーズに応じた情報を提供したりするなど、あえて“特別待遇”をして囲い込む。

採用は社長の仕事

「採用だけは社員に全部を委譲しない」と話す秋元社長(写真/廣瀬貴礼)

 ほとんどの仕事を社員に委譲している秋元社長だが、今なお採用だけは「自分の仕事」という姿勢を崩さない。数年前、「採用は軌道に乗ったし、担当者に任せたほうがより良い結果になるのではないか」と考え、手を離したことがあった。しかし、結果として辞退率が高まったという。

 以来、会社説明会では1、2時間かけて語り、インターンシップの参加者全員と飲み会に行く。会社の目指すビジョンを、自分の言葉で直接学生に伝えることを大切に考えているからだ。

 「会社の夢を語れるのは社長だけ。社員が話すと薄まってしまう。だから自分が前に出るしかない」。そう秋元社長は強調する。

 業界全体で人手不足の嵐が吹き荒れるなか、順調に優れた人材を確保し続ける平成建設。その裏には入念な仕組みと、採用に懸ける並々ならぬトップのエネルギーがある。

(この記事は、「日経トップリーダー」2018年1月号に掲載した記事を再編集したものです)