ここまで繰り返し面接をするのは、両者が素顔を見せ合い、ミスマッチをなくすためだ。

 「これだけ話せば、学生の人となりや価値観は否が応にも見えてくる。それは学生側も同じこと。面接官を務める先輩社員を通して会社の実像が見えれば、納得ずくで当社を選んでくれる」(採用を担当する総務課の芹澤将幸課長)。

 一次面接は個室ではなく、オープンスペースで実施する。個室では学生に圧迫感を与えてしまい、素の姿が出にくいからだ。企業の中には故意に厳しい質問をして学生の対応力を測る「圧迫面接」をするところもあるが、平成建設では「自然な普段通りの様子」から学生の資質を見抜くことに神経を使っている。

 面接官を務めるのは、社歴10年以下の社員。面接官3人のうち1人は、大工や設計など、希望する職種の先輩社員が務める。学生が知りたい情報をもれなく提供したいと考えるからだ。

志望動機を聞かない

 話す内容にも人事部や経営層は一切タッチせず、すべて面接官任せだ。かなりざっくばらんな雰囲気で、志望動機を聞かないこともあるほど。「お互いが自分の言葉でしゃべれる時間だった。時間は長いが全く疲れなかった」と入社2年目で工務部の大垣宏介さんは話す。同じく入社2年目で大工工事部の栗林熙樹(ひろき)さんは「都合の悪いことをごまかさない。正直に本音で話してくれていて好印象を持った」と振り返る。

「普通の会話で、面接という感じがしなかった」と話す入社2年目、工務部の大垣さん(写真/廣瀬貴礼)

 ただし、これは学生にとっては必ずしも楽な面接ではない。面接マニュアルが役立たないからだ。今の学生は面接の受け答えがうまいが、合計240分の長丁場となると、おのずと地頭の良さやとっさの対応力が見えてくる。

 さらにそうした部分をじっくり観察するため、一次面談では、面接官とは別にもう1人、面接には参加せずそれぞれのグループのそばで参加者の様子を観察する採用担当者がいる。