建設業界の人手不足は深刻だ。そんな中、静岡県の中堅住宅メーカーである平成建設は、有名大学出身者ばかり、ほぼ目標通りの新卒者を採用している。
同社の秋元久雄社長は、採用だけは「自分の仕事」と言い切り、自身が前面に出て全力で取り組む。
東京五輪に向けた需要の高まりを背景に、建設業界の人手不足が一段と深刻化している。建設業の大卒求人倍率(2018年3月卒)は前年より3.16ポイント上昇して9.41倍。全業種平均の求人倍率1.78倍に比べ、ずば抜けて競争率が高い(リクルートワークス研究所調べ)。
そんな厳しい環境をものともせず、17年度も当初のほぼ目標通り40人の新卒者を採用したのが、住宅メーカーの平成建設(静岡県沼津市)だ。
獲得したのは有名大学卒業者ばかりで、ほとんどが本社のある静岡以外の出身。非上場で中堅規模の建設会社になぜ全国から人材が集まるのか。
一番の理由は「大工を育成する会社」という同社の明確なコンセプトにある。主要工程を内製化する住宅メーカーは珍しい。建築の道を志す学生の中には、現場で自ら手を動かしてものづくりをしたいという層が一定数いる。だが、大手ゼネコンに入社したら、その夢はなかなかかなえられない。
平成建設は、そうした現場志向の学生の受け皿になっており、このタイプの学生の間では名の知られたブランド企業になっている。
繰り返し面接をする
自社が必要とする人材を獲得できる背景には、数多くの学生が門をたたいてくることに加え、採用方法自体にも秘密がある。
まず、会社説明会を年間で15回程度、東京、大阪、静岡で実施。午前中は秋元久雄社長が会社のビジョンなどをたっぷり語り、午後は半日がかりで一次面接をする。驚くのは面接回数の多さだ。一次面接は学生6人に対し面接官1人の集団面接で1回50分。面接官を変えて、これを3セット実施する。

次の二次面接が最終になるが、これまた回数が多い。学生と面接官の1対1で30分。これも面接官を変えて3回実施する。
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