日報に赤字を入れて社員に返す以外にも、人材育成のために小山社長が毎日続けていることが、もう1つある。終礼での“失敗報告会”だ。
失敗はすべて隠さず表に出す
閉店後、店の厨房に約30人の製造部門の社員が集まり、1日を締めくくる終礼が始まる。「クッキーを焼く際に、生地の状態を1枚ずつ確かめずにオーブンに入れたため、焼き上がりがバラついてしまいました」「先輩に報告や相談をせずに、自己判断で作業を進めてしまった結果、周囲に迷惑をかけてしまいました」。
この日は10人余りが、1日の仕事を振り返り、自分が犯したミスを事細かに発表した。発表するのは失敗の内容だけではない。失敗の原因はどこにあるのか、どうすれば失敗を防げるか、それぞれの社員が自分なりに考えをまとめて言葉にする。失敗を全員で共有し、学びに変える。

「失敗しても、それを皆の前で話してくれたら、それはもう失敗ではない」。小山社長は社員に向けてそう繰り返し伝えてきた。失敗を恐れて縮こまったり、ミスを隠そうとしたりする社員が増えれば、会社の活力は失われる。「失敗は最高の教材」であることを、失敗を恐れがちな若い世代に、身をもって学ばせようとしている。
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