売り上げを伸ばそうと、社員に向かって「がんばれ」と叱咤激励するのは経営者として当たり前――。こう考える人は多いはずだ。しかし、ケーズホールディングスの加藤修一相談役は、「がんばらない経営」を掲げて業績を伸ばし、64期連続で増収を達成したこともある。

 競争の激しい家電量販店でなぜ、ノルマなしでも手堅い経営ができるのか。働き方改革という言葉が普及する前から、残業や休日出勤を減らし、多様な働き方を用意するなど改革を続けてきた先駆者に「がんばらない」の真意を聞いた。

ケーズデンキの本店店舗(写真/清水真帆呂、以下同)

がんばるのは良いことだというのが一般的な認識だと思いますが、「がんばらない経営」を掲げています。

 がんばるという表現は聞こえがいいですよね。でも、無理なことまで実現しようとするニュアンスが含まれるように私は感じます。

 一時的に業績を伸ばしたいと考えるなら、がんばることはできます。しかし、長く経営を続けていくのであれば限界が来ませんか。

 トップががんばれと指示すると、言われた社員は焦って、あれもこれもやらなければならないと考える。結局、すべて中途半端に終わって成果が上がらなくなります。これが一番まずい。それよりも、まず落ち着いて、やるべきことをきっちりやりましょうというのが、「がんばらない」という意味です。

 それに、結果を出そうとしてがんばると、儲かる商品を会社が大量に仕入れてお客さんに強引に売るといった無理が生じる場合があります。肩の力を抜いて、お客さんが何を欲しがっているかじっくり耳を傾ける。人気の商品がきちんと店頭にそろっているように目配りする。こうした基本を徹底するということです。ですから、当社には売り上げや利益の目標はあってもノルマはありません。

面白ければサボらない

ノルマなどがないのであれば、社員が怠けませんか。

 もちろん怠けていいわけはありません。基本を徹底しています。例えば、100人のお客さんが来たら、全員に笑顔で挨拶することはやる気さえあればできますよね。しかし、100人全員に商品を売るのは不可能です。ここで無理してがんばる必要はない。

「日経トップリーダー大学」第6期が始まります

 ケーズホールディングスの加藤修一相談役をはじめ、トップが月1回、計12人登壇し、自身の経験を通じて体得した経営の要諦を語る通年セミナー「日経トップリーダー大学」第6期が4月から始まります。

 今回は「より深く学び、より広く体験する」をテーマに掲げ、プログラムをリニューアルしました。トップの講演・質疑応答はもちろん、受講生同士のディスカッションや年4回の現場視察(企業訪問)の内容を充実させています。特に現場視察は、ジャパネットたかた前社長で現在、J1に昇格したV・ファーレン長崎の髙田明社長の講演、試合観戦など盛りだくさんの内容です。

 経営力を高め、景気の波などの外部環境に左右されない強い企業をつくりたいと真剣に考える中小企業経営者のための年間プログラムです。こちらの本講座の詳細をご覧の上、ぜひ参加をご検討ください。