小山社長は翌朝、すべてに目を通し、社員へのメッセージを赤字で書き添えて返す。ときには厳しい指摘、ときには手放しの感謝の言葉。社長と社員とが1対1で向き合う、大切な機会だ。

 小山社長は語る。「独立する前の会社で、16年間1日も休まずに日報を書いた。初めは面倒で仕方なかったが、続けているうちに弱点や、やる気になる〝ツボ”など、自分という人間が分かるようになった。それが私の強みになった」。

日報の文面で社員の心の内に目配り

 日報は、文字面だけでなく、社員の心の内を見るように細心の注意を払って読む。「少しずつ書く量が減っていたり、同じような記述が続くようになったりしたら要注意」。悩みを抱えていないか、職場で問題が起きていないか、すぐに本人を呼んで確かめる。

小山社長は全社員の日報を読み、メッセージを書く。自分の内面を見つめ直し、思いを言葉にして伝える力を養う

 心配性――。小山社長はこう自己分析する。店や社員を観察しながら、常に問題の芽となる「違和感」(小山社長)を探している。日報を読むのも、敷地の中心に位置するカフェの窓際の席と決めている。「ここからが開店準備で行き交う社員の姿が一番よく見える。とぼとぼ歩いていたり、表情が冴えなかったりする社員がいたら、『大丈夫か?どうした?』とすぐに声を掛ける」という。

(後編に続く。この記事は「日経トップリーダー」2013年9月号の内容を再編集しました)

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