
もう1つの逆を行く戦略は、東京進出時に値下げしたことです。ローカル企業は東京に出てくると大抵価格を上げます。地元でラーメン1杯600円のところ、700円とか750円といった具合です。東京は地方に比べ、家賃も人件費も高いですからね。
これも私は逆をやりました。当時、大宮で450円だったラーメンを東京では390円で提供した。最初は赤字だったものの、半年くらいたったら390円でも利益が出るようなローコストオペレーションが確立してきました。
私が390円にこだわったのは、当時大手ハンバーガーチェーンや牛丼チェーンが主要メニューを同水準の値段で出していたからです。あえてそこに価格をそろえることで、お客様に昨日はハンバーガー、今日はラーメンと使い分けてもらいたいと思った。これも狙いが当たりました。
宝の山が待っている
誰もが考えることをやると、熾烈な競争に巻き込まれる。みんなが考えないほうへ行くのは度胸がいるし、怖い。でも宝の山が待っている場合があるのです。
私は地域の皆さんに「日高屋があってよかった」と言われることに生きがいを感じています。先日、あるお客様から「年金生活なので、日高屋の安いラーメンは本当にありがたい」というメールをもらいました。また別の方からは「娘が『日高屋が遅くまで開いているおかげで治安がよくなった』と喜んでいる」というお話を聞きました。非常にうれしいことです。
(この記事は、「日経トップリーダー」2015年6月号に掲載した記事を再編集したものです)
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