一番大事なのは、夢を追い求め続ける情熱ですね。私のようなお金も学歴もない人間がこれだけお店を持てたのも、運良く上場できたのも情熱があったからです。
ハイデイ日高は首都圏にラーメン店「日高屋」などを展開しています。ラーメンとギョーザと生ビールで千円札を出してお釣りがくるというリーズナブルな値段が売り物です。
当社はチェーン展開を始めてから、業界の常識とは逆の戦略を取ってきました。
1つは、徹底して駅前に店を出すことです。みんな家賃の安いところ、安いところへと店を出す。結果、競争が激しくなります。私は反対に高いところ、高いところを狙いました。ほとんどラーメン店はなかったので、巨大なマーケットを独占できたというわけです。
銀行からは「これからは車社会の到来だ。ファミリーレストランを見てみろ。ロードサイドへ出店しないなら融資はしない」と言われましたが、私は絶対に駅前だと主張して譲らなかった。銀行に言われるまま郊外に店を出していたら今の日高屋はなかったでしょう。
ライバルは時代の変化
どんな商売も同じだと思いますが、ライバルは時代の変化だと思っています。時代の変化にいかに付いていくか。そもそも駅前に着目したのはかなり昔、大宮の駅前から屋台が消え始めた頃です。
私が店を開いた当時、まだ駅前にはラーメンやおでんの屋台があって、特に深夜は黒山の人だかりでした。また、かつてサラリーマンは弁当包みをぶら下げて通勤していたのに、70年代になると弁当は持たず、新聞や雑誌を小脇に挟んでいる人が目に付くようになった。この人たちは飲食店のお客になると私は踏みました。
この頃になると、道路交通法や衛生面の問題で屋台は姿を消していました。あそこにいたお客さんたちは行き場を失ってどこに行くのか、うちが駅前屋台の代役になれないかと考え、メニュー構成を変え、いち早く駅前へ店を出し、今の日高屋になりました。
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