教材テキストも作成し、2000年から検定制度をスタート。「事務系を除く社員全員に一番下の級から受けてもらった。継続するには皆で上級を目指そうという雰囲気が大事。だから役員も受ける。現場作業をしていない社長に抜かれてなるものかと、社員が発奮する」と福澤社長は笑う。
検定試験は年1回。試験前の2、3週間前からは、勤務時間中に講習会・練習会を開催する。「水曜の午前は4級検定を受ける3人の講習」というように、級ごとに集まり、上級の資格を持つ社員が教える。今では、この社内検定制度が長野県に認められ、県知事の認証も付与されるまでになった。
新人研修や検定制度は、先輩が後輩に教えることで運営している。この仕組みが社内のコミュニケーションを良くし、互いに教え合う文化も醸成する。そこには「会社の主役は社員」という福澤社長の考えも反映されている。
毎週褒めて、伸ばす
またフクザワでは毎週、建設部門の係長以上が部下の良かった点、改善したほうがいい点を福澤社長にメールで報告する。その内容はトップだけにとどめず、良かった点は実名入りで、改善したほうがいい点は匿名で、建設部門の社員全員にメールで共有する。
「誰だって、褒められるとうれしい。あのときのちょっとした行動を見てくれていた人がいて、それを皆の前で褒めてくれる。これを続けていると、どんどん仕事に前向きになってくれる」
こうした丁寧な人づくりが技術者集団をつくり、収益性の高い工事の受注につながっている。直近10年間で売上高は2・7倍、経常利益は6・9倍に大きく伸び、利益率は20%を超える。堂々たる好業績はまさに人づくりの産物だ。
(この記事は、「日経トップリーダー」2017年4月号に掲載した記事を再編集したものです)
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