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 これに対してレベル3の自動運転がレベル2と一番違うのは、ある限定された条件下でシステムの監視義務が不要になることだ。ただし、限定された条件から外れたり、システムが機能限界に達したりした場合には、人間に運転を移譲する。

 現状のレベル2の自動運転では、ステアリング、アクセル、ブレーキなどの操作は自動化されているものの、ドライバーが過度にシステムに依存するのを防ぐために、ステアリングから一定時間(通常は10秒程度)以上手を離していると、自動運転モードを解除するように設定されている。自動運転というよりも、運転支援システムに近い位置づけだ。これに対しレベル3では、条件付きではあるのだが、人間はステアリングから手を離すことができ、システムの監視義務からも解放される。つまり、本来の「自動運転」に近づく。

 一方で、レベル3で運転をクルマに任せている状況で万が一事故が発生した場合、その責任は人間ではなくメーカーが負うことになる。このためメーカー各社はレベル3の実現のために、レベル2よりも信頼性の高いシステムを構築することが必要になる。

アウディが実用化を表明したが…

 この「レベル3」の自動運転の実用化を最初に表明したのは独アウディである。このコラムの第87回でも詳しく解説しているのだが、同社は2017年秋に全面改良した最高級車の「A8」にレベル3の自動運転機能を搭載すると発表した。市販車にレベル3の自動運転機能を搭載するのは世界で初めてになる。A8が搭載するのは、高速道路の交通渋滞時(時速60km以下)に限ってレベル3の自動運転が可能な機能だ。

世界で初めて「レベル3」の自動運転機能を搭載した独アウディの「A8」(写真:アウディ)

 これまでレベル3の自動運転の実用化は難しいとされてきた。車両から人間への運転の移譲に危険が多いという指摘が多かったからだ。人間が運転から解放されている間、居眠りをしていたり、コーヒーを飲んでいたり、システムから運転を代わるように要請されても、代われる状況にないことが考えられるからだ。

 これに対して、アウディが実用化するレベル3は、クルマを運転していないときに許される作業を、車両に搭載されたディスプレイでメールを読むなど、クルマの機能に統合された端末でできるものに限定し、手動運転が必要になる時には映像を切り替えて、スムーズに移行できるように配慮している。