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もう関係の修復は不可能

 こうした状況に輪をかけて日産のプロパー社員のモチベーションを下げているのが、2018年4月以降になって部長クラスにルノーから人材が送り込まれる例が増えていることだ。2018年4月以降の部長級の人事を見ると、88人中33人が外国人となっており、2017年の同じ時期に82人中26人だったのに比べて、その比率は32%弱から37%強へと増加している。こうした人事政策の結果、2018年4月以降に日産からの退職者が急増しているとの話も聞いた。

 では、この後日産とルノーの関係はどうなるのだろうか。まず手を着けるのは、ルノーとの「不平等条約」の解消だろう。日産からルノーへの利益貢献は、株式配当などの目に見える部分だけでなく、プラットフォームの開発費用の分担や、ルノーからのディーゼルエンジンの購入費、ルノーへの生産委託費用など、目に見えない部分でも行われていた可能性がある。こうした関係を対等に是正していくことが第一段階だろう。

 ただ、最近の新聞報道などをみると、こうした条件をルノーが簡単に呑むとは考えにくい。そうなると考えられるのは、日産によるルノー株の買い増しである。すでに多く報じられているように、日本の会社法では、日産のルノーに対する出資比率が25%になれば(現在は15%)、ルノーの日産への議決権が消滅する。日産がルノーの意向にかかわらず、単独で方針を決められるようになる。このため日産は今後、現在の15%から25%へルノー株の買い増しなどを検討するとみられるが、ルノーや仏政府の反発は避けられないだろう。

 もちろん、ただちに日産とルノーが提携を解消することは考えにくい。両社が享受している、共同購買やプラットフォームの共同開発などによるコスト削減効果は、現在年間7000億円規模に達しており、両社にとってこれを失う影響は大きい。このため短期的には日産・ルノーアライアンスは維持されるだろう。しかし、今後両社の距離は次第に開いていくと筆者は考えている。企業の関係も人間関係と同じだ。相互の信頼と尊敬の念がなければ関係の維持は難しい。そして今回の事件は、そのどちらも決定的に失わせてしまった。

道路交通法改正で「レベル3」を可能に

 もう一つ、2019 年を占う上で重要なニュースが2018年12月末に発表された。警察庁が道路交通法の改正案を示し、パブリックコメントの募集を始めたことだ。このニュースがどうして注目されるのか。それはこの改正が自動運転の「レベル3」の実用化に道を開くものだからだ。そしてこの改正案の中には、筆者を驚かせる内容が含まれていた。

自動運転のレベル。レベル3は「条件付き運転自動化」の段階(資料:官民ITS構想・ロードマップ2018)

 それでは自動運転のレベル3とは何か。それを理解するために、まず現在実用化されている「レベル2」の自動運転から解説しよう。これは自動ブレーキ、車線維持支援、ステアリング操作の自動化など、複数の機能を組み合わせて、高速道路で同じ車線を走り続けるなど、限定した条件の自動運転を実現する段階である。ただし人間は常にシステムの動作状況を監視する必要がある。