例えば、従来カムリに搭載していた排気量2.5Lの「AR型」エンジンは、エンジンの後方から空気を吸い込んで、前方から排出する「後方吸気・前方排気」のエンジンだった。これをTNGAでは、すべてのエンジンを前方から空気を吸い込んで後方に排出する「前方吸気・後方排気」に統一した。

従来のエンジン群ではエンジンの吸気・排気の方向がばらばらだったが、TNGAでは「前方吸気・後方排気」で統一した(資料提供:トヨタ自動車)

 新型プリウスに搭載している排気量1.8Lの「ZR型」エンジンも、TNGAの思想を取り入れて改良し、40%という世界最高水準の熱効率を達成しているのだが、カムリに搭載予定の排気量2.5Lの新型エンジンでは、ハイブリッド車(HEV)用の最高熱効率がプリウスを上回る41%、ハイブリッドでない通常のエンジン車向けのエンジンも40%と、いずれも世界最高水準を実現した。HEV用は、なるべくエンジンの効率の高い領域を使えるようにモーターが助けてくれるので、効率を高めやすいのだが、モーターのない通常のエンジン車用でも40%を達成しているのはなかなかすごい。

 トヨタは同時に、伝達効率や加速のスムーズさを向上させた新開発の前輪駆動車用8速自動変速機(8速AT)を開発しており、これと組み合わせることで、エンジン車は従来よりも加速性能を10%以上高めつつ、燃費も20%向上させることが可能になる見通しだ。HEVも同程度の動力性能・燃費性能の向上が図られるようだ。国内向けのカムリはハイブリッド仕様しかないのだが、これのJC08モード燃費は23.4km/Lなので、新型カムリは28km/L程度に向上することが期待できる。トヨタは2021年頃までにTNGAの思想に基づく新世代エンジンの搭載率を世界生産台数の60%程度に高める計画で、トヨタ車の競争力は向こう5年でかなり底上げされることになる。

ホンダやスバルも新世代プラットフォーム

 トヨタのように声高に宣伝していないので目立たないのだが、ホンダも粛々と次世代技術への置き換えを進めている。2015年10月に全面改良した米国向け「シビック」から新世代のプラットフォームを採用しており、今後「アコード」などの他の主力車種にも横展開していく計画だ。従来シビッククラスとアコードクラスでは別のプラットフォームを使っていたが、この新世代のプラットフォームから両者のプラットフォームを統一して開発効率や生産効率を向上させる。

セダンに続き、ホンダが2016年11月から米国市場で発売した新型「シビック ハッチバック」

 2016年12月に発売され、2016-2017 日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した富士重工業の新型「インプレッサ」も、このコラムの第51回で紹介したように、同社の新世代プラットフォーム「スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)」を初めて採用したモデルだ。同社はこのSGPを、今後次世代「レガシィ」など上級車種にも展開する計画である。