このうち、クルマが人間に車線変更の許可を求めるタイプの自動車線変更は2018年の早い時期にも認可されそうだが、クルマ自身が判断する方は検討にまだ時間がかかりそうだ。日産が2018年に実用化する自動車線変更は前者の、人間に許可を求めるタイプになる公算が強い。

すでにGMは手放し運転を実用化

 一方の手放し運転も、国連での議論はまだ時間がかかりそうなのだが、じつはすでに、国連での議論を待たず手放し運転は実用化している。米ゼネラルモーターズ(GM)が2017年夏から発売しているキャディラックブランドの最高級車種「CT6」に搭載が始まった自動運転機能「スーパークルーズ」がそれだ。

米GMのキャディラック「CT6」に搭載された自動運転技術「スーパークルーズ」
米GMのキャディラック「CT6」に搭載された自動運転技術「スーパークルーズ」

 スーパークルーズでは、ステアリングコラム上部に積んだ小型赤外線カメラでドライバーの頭の位置を検知して、ドライバーが正面を向いているかどうかを常にモニターしている。正面を向いている場合には、ステアリングから手を離していても自動運転モードは解除されない。一方で、もしドライバーが前方から目を離していると判断した場合には、警告を発する。それでもドライバーが正面に視線を戻さない場合には、ドライバーに異常が発生したと判断し、自動運転機能を利用して車両を停止させ、センターに通報する。

 もう1つの特徴は、3Dデジタル地図データを備えていることだ。この高度な地図データによって、スーパークルーズの使用を高速道路に限定し、一般道路では使用できないようにする目的にも使われる。米国では国連の議論の行方に左右されず、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)が独自にこれらの装備の認可を判断しており、GMは独自の安全対策によって手放し運転を実現したわけだが、日本では国連の議論を待つ公算が強い。実際、国土交通省はこの10月に保安基準を改正し、高速道路などを自動走行する際、ドライバーがハンドルから65秒以上手を離すと手動運転に切り替える仕組みを搭載することを義務付けた。2019年10月以降の自動運転機能を備えた新型車が対象で、自動操舵機能などに関する国際基準が、国連欧州経済委員会自動車基準調和世界フォーラム(WP29)において策定されたことを踏まえた措置だとしている。

 ちなみに、ここまで説明してきた「自動車線変更」についての制限や、「手放し運転の禁止」などはいずれもレベル2の自動運転(車両の操舵、加減速の制御は自動化されているが、運転の責任はドライバーにある段階)での話なのだが、国連の議論を見ていると、車線変更はともかく、手放し運転についてはレベル3の自動運転(車両の操舵、加減速の制御は自動化されており、運転の責任も車両にあるが、自動運転モードの継続が困難になった場合には人間が運転を引き継ぐ義務を負う段階)まで待たなければならないかもしれない。

 このように2018年も、パワートレーンや自動運転、さらに今回は触れなかったが「つながるクルマ」の分野で、いろいろと進展がありそうだ。読者諸兄におかれましては素敵なクリスマス、佳い新年をお迎えください。来年も当コラムをよろしくお願い致します。

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