可変圧縮比エンジンを高級SUVに搭載

 HCCIエンジンと並ぶエンジン革新が、可変圧縮比エンジンの実用化である。日産自動車は2017年秋のロサンゼルス・モーターショーで高級車ブランド「Infiniti」の新型SUV(多目的スポーツ車)の「QX50」を発表した。このQX50は新開発のプラットフォームや自動運転技術「プロパイロット」の搭載など見どころの多い新型車なのだが、その最大の目玉技術が、世界初の可変圧縮比エンジン「VC(Variable Compression)ターボ」の搭載である。日産は、まだQX50の発売時期を明らかにしていないのだが、2018年春の発売が有力視されている。

世界初の可変圧縮比エンジン「VCターボ」を搭載する日産自動車の新型「Infiniti QX50」
世界初の可変圧縮比エンジン「VCターボ」を搭載する日産自動車の新型「Infiniti QX50」

 このVCターボエンジンについても、すでにこのコラムの第68回で取り上げているのだが、最初に公開したのは2016年秋のパリモーターショーだったので、公開されてから足掛け1年半で実用化されることになる。可変圧縮比エンジンの特徴は、通常は効率のよい高い圧縮比で運転し、ノッキング(異常燃焼)しやすい高負荷領域では圧縮比を下げるという具合に、最適の圧縮比を選ぶことで燃費を向上させることだ。

 さらに日産の可変VCターボエンジンは、コンロッドとクランク軸をリンク機構で結合することで摩擦や振動を減らしているのも特徴の1つだ。今回商品化するVCターボエンジンは排気量2.0Lの直列4気筒エンジンだが、日産はこれをターボと組み合わせて、V6エンジンを置き換えるエンジンとして位置づけた。現行型のQX50は排気量3.7LのV型6気筒エンジンを搭載しており、このエンジンは最高出力243kW、最大トルク362N・mなのに対して、VCターボは200kWと最高出力は低いが、最大トルクは380N・mとむしろ大きい。

VCターボエンジンの仕組み。クランクとコンロッドをリンク機構でつなぎ、このリンク機構の支点をアクチュエータで動かすことでピストンの上死点をずらすことで圧縮比を変える。
VCターボエンジンの仕組み。クランクとコンロッドをリンク機構でつなぎ、このリンク機構の支点をアクチュエータで動かすことでピストンの上死点をずらすことで圧縮比を変える。
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