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良好な実走行燃費

 今回もさっそく走り出してみよう。現行型のトゥーラン自体は、すでにこのコラムの第48回で取り上げているが、そのときから2年10カ月ほど経っているけれども、当然のことながら基本的な乗り味は変わらない。ミニバンだと考えれば国産車と比べるとずっと乗用車的な乗り味だ。ただし同じプラットフォームを使う「ゴルフ」と比べると、乗り心地は硬めだし、ボディ剛性という観点でもゴルフには一歩譲る。

 ただし、これはハッチバック車よりも背が高いというミニバンの物理的な宿命から考えれば仕方のないことで、これ以上足回りを柔らかくしてしまうと今度は操縦安定性が悪化してしまうだろう。現行のトゥーランはミニバンとしてはステアリングの操作に対する応答が早く、運転が楽しめるクルマであり、この足回りのセッティングは乗り心地と操縦安定性のバランスを相当煮詰めた結果なのだろうと想像する。付け加えれば、今回試乗したディーゼル仕様のTDIは、ガソリン仕様のTSIに比べると車両重量が70kgほど重いせいか、乗り心地はより落ち着いた印象を与える。

 肝心のディーゼルエンジンだが、エンジンを始動すると、車両の外で聞こえる「カラカラ」というディーゼル騒音はけっこう大きい。ドアを閉めればうるさいということはないが、アイドリング音からディーゼルだということははっきり分かる。また加速するときのフィーリングも、当然のことながらガソリンほど軽快ではなく、ディーゼル特有のザラザラとしたやや荒い感触で回転数を上げていく。ただし、トルクが大きいぶん、アクセルを踏み込んだときの力強さは一枚上手で、アクセルをそれほど踏み込まなくても十分な加速力を発生する。

 このディーゼルエンジンが美点を発揮するのは一般道よりも高速道路だ。ディーゼルの大きいトルクを受け止めるため、変速機はTSIの乾式クラッチを使った7速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)と違って、湿式クラッチを使う6速DCTに変更されているが、時速100kmで走行しているときのエンジン回転数は1600rpm程度に過ぎず、この速度域の走行は平和そのものだ。

 走行中に追い越しなどで加速する必要が生じたときには、アクセルを少し踏み込んでやればどんな回転数からでも大きなトルクを取り出せるから、運転していて非常に楽だ。アクセルを踏み込んでから加速に入るまでの遅れ(いわゆるターボラグ)は、ゼロではないが軽微で、このあたりはスロットルバルブのないディーゼルのメリットが出ている。

 そしてディーゼルで気になる燃費だが、試乗時の燃費は燃費計の読みで、渋滞の多い都内の道路でも13km/L程度、比較的流れの良い郊外の一般道路で15km/L程度、そして高速道路では19km/L程度という結果だった。車両重量が1600kgを超えるミニバンとしては良好な値と言えるのではないだろうか。

 総合的な燃費は高速道路/一般道路の比率にもよるが、15~16km/Lは期待できそうだ。ガソリンエンジン仕様のTSIは12~13km/Lだから、実用燃費はTDIが2割程度上回ると見ていいだろう。結論をいえば、高速道路を走る機会が多く、年間走行距離の長いユーザーならTDIが向く。一方で、市街地を走行するときの軽快なフィーリングや、価格が20万円ほど低いことを重視するならTSIがお薦めということになる。