しかも、このeペダルの加速、減速の制御が非常によく躾けられていて、操作していて違和感がない。どういう速度域で、どの程度ペダルを戻したら、どの程度の減速度にするか、開発担当者はその煮詰めに相当時間をかけたのだろうと感じた。

 自動運転機能のプロパイロットは、このコラムの第86回で取り上げたエクストレイルのものと基本的には変わらないので詳しくは触れないが、単眼カメラだけというシンプルなセンサー構成で、車線が消えかかっているところでも粘り強く車線を維持し続けようとするのは感心するのだが、一方で、車線がはっきり見えているのに、なかなかステアリング操作の支援がスタートしないときもあり、その境目がどこにあるのかがちょっと不可解だった。

電力消費量は?

 最後に、気になる「電費」(走行距離あたりの電力消費量)についても触れておこう。筆者が今回試乗した総合的な電費は、7.0km/Wh(メーター読み)だった。1kWhあたり7.0kmの走行が可能だったということで、新型リーフの電池容量は40kWhなので、単純に考えると、280kmの走行が可能ということになる。また、これをコスト換算してみると、一般的な家庭の電力料金は概ね1kWhあたり25円だから、10km走行あたりの電力コストはだだいたい36円である。燃費が10km/Lのクルマと比べると、ガソリン価格を140円とすれば、1/4程度になるし、燃費が20km/L程度のハイブリッド車と較べても、半分程度で済むことになる。

 ただし、断っておかなければならないのは、今回の試乗では天候が良かったので暖房も冷房も使わなかったということだ。もしエアコンを作動させていたら、ここから2割程度、電費は悪化していた可能性がある。

 ここまで、新型リーフのいい面ばかり書いてきたような気がするが、もちろん難点もある。まず挙げられるのは価格だろう。プロパイロットを装備したGグレードの場合で、各種の補助金や減税が最大55万円程度期待できることを考慮しても購入額は約350万円と、同クラスのエンジン車やハイブリッド車に比べて50万~100万円高いのは否めない。

 日常的な使い勝手の面では、床下に電池を積んでいるので通常のエンジンクルマよりも床面が高く、後席での乗車姿勢が若干「体育座り」になることや、前席下への足入れ性があまり良くないことは指摘しておくべきだろう。

 また荷室スペース自体は深く大きいのだが、長尺の荷物を積もうとした場合に、後席下に電池を積んでいることもあって、後席を前に倒しても荷室スペースはフラットにならない。使い方によっては気になるユーザーもいるだろう。そしてもちろん、伸びたとはいえ、航続距離はまだガソリン車より短く、充電ステーションも増えたとはいえガソリンスタンドよりは少なく、そして充電にも時間がかかる。

荷室の深さはあるのだが、後席を前に倒してもかなり段差が残る
荷室の深さはあるのだが、後席を前に倒してもかなり段差が残る

 それでも、新型リーフは乗り心地と操縦安定性のバランス、高い動力性能、eペダルの便利さ、維持費の安さ、それにここまでで紹介しなかったが静粛性の高さなど、1台のクルマとして非常に高い魅力を備えている。自宅のガレージで電源が確保でき、EVに興味があるという読者は、一度試乗して最新のEVがどういうものか体験してみることをお薦めする。

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