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北京市内の国家会議中心で開催された「第12回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」

 11月の末に中国・北京で開催された「第12回日中省エネルギー・環境総合フォーラム」に参加してきた。このフォーラムは日中間の省エネルギー・環境協力のプラットフォームとして、日本側が経済産業省、日中経済協会、中国側が国家発展改革委員会、商務部が主催者となって、ほぼ毎年日本と中国で交互に開催しているもので、日本の対中省エネ・環境ビジネス推進の一翼を担っている。前回の第11回フォーラムは、2017年12月に日本で開催された。

 同フォーラムは、午前中の全体会議と、午後の分科会から構成されている。全体会議は、日中の主催者スピーチと、日中で交わされた省エネ関連プロジェクトの調印式、そして日中代表企業の講演などだ。また午後の分科会は(1)省エネ技術イノベーションシステム構築分科会、(2)クリーンコールテクノロジーと火力発電分科会、(3)循環経済分科会、(4)自動車の電動化・スマート分科会、(5)長期貿易分科会(水循環改善における技術イノベーション)の五つの分科会が開催された。そして2日目には各分科会ごとの地方視察がある。

 今回筆者が同フォーラムに参加した目的は大きく分けて二つある。一つは自動車分科会で世界最大の車載電池メーカーに躍り出た中国CATLや、オープンソースの自動運転ソフト開発プロジェクトを推進する中国百度など、ふだんはなかなか接することができない中国企業の講演を聞けること。そして二つ目は、2日目の地方視察で、中国が新たな「新区」として開発を計画している「雄安新区」を訪れることだ。

 雄安新区は深セン経済特区、上海浦東新区に続く国家レベルの特区で、北京の非首都機能移転の受け皿となって北京の過密化を緩和するとともに、自然と調和した新しい都市のモデル区とすることを狙っている。同新区は自動車をすべて自動運転車とする“自動運転シティ”となることが予定されており、実際百度などもここで自動運転車の試験走行をしているということで、筆者も注目していたのだ。

日本は水素関連のプロジェクトを強調

 1日目の全体会議では、日本側からは世耕弘成経済産業大臣や宗岡正二日中経済協会会長が、中国側からは何立峰国家発展改革委員会主任や銭克明商務部副部長がスピーチした。スピーチの中で世耕大臣は、最近の日中協力の例として、日本と中国の間で新たな電気自動車(EV)向けの急速充電規格の共同開発を進めることで合意したことを挙げ、今後も水素分野や、海洋プラスチックごみ問題で協力することなどを説明した。

 この世耕大臣のスピーチを受けるように、日本の企業代表として講演した千代田化工建設や東芝エネルギーシステムズも、それぞれが推進する水素関連プロジェクトについて紹介した。千代田化工建設は、水素を将来の核事業の一つとして位置づけ、水素の輸送手段として水素とトルエンを反応させてメチルシクロヘキサンに転換した「SPERA水素」の応用研究を進めている。SPERA水素は常温で液体の状態で輸送できるため、気体の水素よりも輸送が容易で、既存の石油流通インフラを活用できるという利点がある。千代田化工建設は、メチルシクロヘキサンから水素を分離する独自の触媒に強みがある。