これに対して今回クーパー・スタンダードが開発したFortrexを使うと、ウエザーストリップをゴム製よりも3割、従来の樹脂製に比べても1割軽量化できる。しかも、従来の樹脂製ウエザーストリップに比べてヘタりにくいので、遮音性能の低下も少ない。車両の大きさやドアの構造によっても異なるが、ゴム製のウェザーストリップを代替した場合には、車両1台あたり0.7~1.7kg、樹脂製を代替した場合には0.32~0.98kg軽量化できるという。

 しかも、従来のウエザーストリップの設計を変更する必要はない。質量あたりの材料コストはやや高いものの、材料が軽量なため使用量が少なくて済むので、コストも同等程度に抑えられるようだ。軽量化に血眼になっている車体設計のエンジニアから見ると、材料を置換するだけで約1kgも軽量化できるというのは大きな魅力だろう。

ルームミラーをディスプレーに

 地味な部品といえば、ルームミラーも一見イノベーションの余地のない地味な部品に見える。このルームミラーをハイテクで一新しようという企業が米ジェンテックスだ。同社の強みはエレクトロクロミック技術である。エレクトロクロミックとは、電流を流したり、電圧を加えたりすると色が変わる現象のことだ。最近の航空機の窓では、外からの光を遮るシャッターの代わりに、スイッチを押すと窓の色がどんどん濃くなって外の光を遮断するタイプのものがあるのをご存知の読者も多いだろう。これも、エレクトロクロミックを応用したもので、同社はこの航空機用のエレクトロクロミックを使った遮光板も供給している。

 このエレクトロクロミック技術をルームミラーに応用したのが自動防眩ミラーで、同社は世界トップシェアを誇る。通常の防眩ミラーは、後方からハイビームにしたクルマが近づいてきた場合、ドライバーが眩しくならないように、手動でミラーの角度を切り替える。すると、ドライバーの目にはミラーの裏面で反射した光が届くようになり、眩しさが抑えられる。

 これに対して、自動防眩ミラーはミラーの表面にエレクトロクロミック板を配置して透過する光の量を減らすことで眩しさを抑える。ミラーの表面に光センサーを取り付けてあり、眩しさに応じて透過光の量を調節するため、画面が暗くなり過ぎることがない。この自動防眩ミラーは国内ではあまり普及していないのだが、欧米では普及価格帯の車種にまで浸透している装備だ。

 そのジェンテックスが次世代のルームミラーとして開発したのが、ミラーを液晶で置き換えた「フルディスプレーミラー」である。では、ルームミラーを液晶ディスプレーで置き換えると、どんな利点があるのだろうか。1つは、ミラーでは不可能な広い視界が得られることだ。最近は、デザイン性や空力特性の向上のため、リアウインドーの上下幅が小さくなっているクルマが増えている。このため、ルームミラーを通して見る後方視界は悪くなる方向にある。

ジェンテックスの「フルディスプレイミラー」。鏡ではなく液晶ディスプレイを使って後方の景色を映し出す