今回出展されたアーバンEVコンセプトとスポーツEVコンセプトは、ホンダが開発中のEV専用プラットフォームを採用しているとのことだったが、肝心の技術的な内容はほとんど明かされなかった。電池容量や航続距離といった基本的なスペックもだ。ただ、アーバンEVコンセプトという名称から考えて、都市部の比較的短距離の移動をするためのEVという位置付けだと考えられるので、500~600kmというような長い航続距離は想定していないだろう。

 また、初代「シビック」を思わせるようなボクシーでシンプルなデザインは、やや「レトロ調」という印象も与えるが、会場の説明員によればそういう意図はないという。EVかエンジン車かという枠にとらわれず、親しみやすいデザインを追求した結果なのだそうだ。外観デザインに加え、フロントやリアにはディスプレイを配置して、歩行者へのメッセージなどを表示できるようになっており、乗員だけでなく、歩行者に対しても親しみやすい印象を与えるように配慮している。

 ただ、このコラムの第67回で紹介したように、フォルクスワーゲンのEV専用プラットフォーム「MEB」は電動車両ならではのレイアウトを追求し、多様な車種を一つのプラットフォームから作り出せるように設計されている。これに比べると、アーバンEVコンセプトにしろ、スポーツEVコンセプトにしろ、フロントにエンジンを搭載するエンジン車のレイアウトを引きずっているように感じられた。それに他社ではより大型の車種にもEVを展開する動きが出ており、こうした流れに新開発プラットフォームは対応できるのかどうかが気になった。

技術の先進性をアピールするトヨタ

 2018年以降矢継ぎ早にEVを商品化する計画を明らかにしているホンダに比べると、今回の東京モーターショーでトヨタは、具体的なEVの商品化計画を明らかにせず、その意味ではやや物足りない感じを与えた。しかし一方で、世界のEV化の潮流を強く意識していることをアピールすることは忘れなかった。その象徴的なものが、プレスカンファレンスでのディディエ・ルロワ副社長の発言だろう。

 ルロワ氏はスピーチの中で、これまでのトヨタにおけるHEVの販売実績を強調し、ここで培われたモーター、インバーター、電子制御ソフトウエア、電池などの電動化コンポーネントを開発・改良してきたことが「次のステップであるEVの開発においても、我々の競争力の源泉となる」とアピールした。

プレスコンファレンスで電動化技術をアピールしたトヨタ自動車のディディエ・ルロワ副社長(写真:トヨタ自動車)

 さらに、マツダ、デンソーとともに、EV量産化を視野に入れた新会社の立ち上げに言及したのに加え、次世代電池といわれる「全固体電池」の開発にも触れた。全固体電池は、従来のリチウムイオン電池に比べると、よりエネルギー密度が高く、安全性に優れ、しかも短時間で充放電が可能という特徴を備え、世界の研究機関が開発に取り組んでいる。