自動運転EVで自社製品をアピール

 シェフラーやパナソニックは今回、ZFやコンチネンタルのように自動運転EVベンチャーと提携することはせず、独力で移動サービス向けの自動運転EVを試作した。両社の狙いは完成車を生産することにはなく、自動運転EV向けにキーコンポーネントやコンテンツを供給することにある。

 シェフラーは、2018年4月にドイツで開催した「シェフラー・シンポジウム」で、独自に開発した自動運転EVのコンセプト車「Schaeffler Mover」を公開した。そしてこのコンセプト車のモックアップを2018年10月31日と11月1日に日本で開催した「シェフラー・シンポジウム」で公開した。

 シェフラーのコンセプト車の最大の特徴は、その駆動方式にある。モーターを車輪の中に内蔵してしまう「インホイールモーター」を採用したのに加え、サスペンション機構もすべて一体化した「コーナーモジュール」を新たに開発した。これを車体の四隅に取り付けるだけで、走行する機能を実現できる。このコーナーモジュールはサスペンションアームや駆動軸の制約がないため、90度という大きなタイヤの操舵角が実現でき、車両が真横に移動することも可能だ。このため都市内を移動する車両に要求する小回り性を、これまでのクルマでは考えられないレベルで実現できる。

Schaeffler Moverのコーナーモジュール。タイヤやモーター、サスペンション機構などを一体化し、これを車体に取り付けるだけで走行できる。

 車体側にサスペンションアームやモーターなどを取り付ける必要がないため、車体構造を簡略化でき、また室内スペースを広く取れるのも特徴だ。通常の車両ではタイヤのホイール部分にディスクブレーキのディスクがあるため、インホイールモーターをタイヤの内部に収容しきれず外にはみ出してしまい、スペース効率の向上につながらないことも多い。これに対して今回は都市向けの車両ということで速度領域を中低速域に限定しており、ブレーキもコンパクトなドラムブレーキをモーターや減速機と一体化してホイールの内部にコンパクトに収めている。モーター1基あたりの定格出力は13kW、最高出力は25kWだ。

 今回展示したのは、このコーナーモジュールを4基搭載したシャシー部分だが、実際の車両はこのシャシーの上に、乗客用や荷物輸送用など、さまざまなモジュールを載せることで、いろいろな用途に使えるようにすることを想定している。Schaeffler自身は現在のところ“完成車メーカー”になるつもりはなく、このコーナーモジュールのようなキーコンポーネントを完成車メーカーに供給するポジションを狙っているようだ。