このため、移動サービス分野への参入を狙う企業向けにサービス用の車両を供給する、新しいタイプの“完成車メーカー”が求められるようになるだろう。トヨタ自動車は既存の完成車メーカーとしてそういうニーズに応えようとしているし、トヨタ以外でも独フォルクスワーゲンや仏ルノーのようにサービス専用の車両のコンセプト車を公開して参入に意欲を見せている完成車メーカーもある。しかし、こうした新市場を狙っているのは完成車メーカーだけではない。

 ここに来て部品メーカー各社がサービス用の自動運転EVの開発に取り組むのは、これらの企業も新たに誕生する新しい市場を虎視眈々と狙っているからにほかならない。ただし、各社の姿勢は少しずつ違う。冒頭に挙げた4社のうち、最も積極的なかかわりを目指すのはZFで、ズバリ“完成車メーカー”への意欲を鮮明にしている。

ベンチャーと合弁会社を設立

 ZFは2017年5月に、自動運転EVを開発するベンチャー企業である独e.GO Mobileとの提携を発表した。具体的には合弁会社のe.GO Mooveを設立して、移動サービス向けの自動運転EVの開発・製造・販売に参入する。e.GO Mobileがこれまで開発してきた自動運転EVをベースに、ZFは電気駆動システムやセンサー統合技術などを供給する。さらに、自動運転用人工知能制御ユニット「ZF ProAI」を統合車両システムとして提供する。

 そして2018年6月には、自動運転用EVの量産を2019年にドイツ・アーヘンで開始すると発表した。量産する車両は都市部の人と荷物の移動用で、当初は年間数万台の生産を計画しているが、ZFは、今後5~7年でこのような車両に対する需要は年間100万台規模に達すると予想しているという。

 ZFと同様に、自動運転EV開発ベンチャーと緊密な関係を築いているのがコンチネンタルだ。同社は2017年7月に、自動運転EVを開発するフランスのベンチャー企業であるEasyMileに出資すると発表した。出資比率は公表していないが、少数株主としての出資だという。ただし、コンチネンタルの場合、まだZFのように自動運転EVの生産に乗り出すところまでは踏み込んでいない。Easy Mileとの提携の狙いは、自社の自動運転向け部品を評価することにあるようだ。

 コンチネンタルは自動運転車向けのセンサーとしてミリ波レーダーやカメラなどを供給しており、また新しいタイプのセンサーとしてLiDAR(レーザーレーダー)を開発中だ。今後の完全自動運転の実用化を目指して、これらのセンサーの性能を高めるために、実際にEasMileの車両にセンサーを組み込んで評価し、性能を高めていくのが提携の狙いだ。

 今回日本で公開した車両は、EasyMileの自動運転EV「EZ10」に、コンチネンタル製のミリ波レーダーやカメラを組み込んだもの。LiDARも搭載しているが、まだコンチネンタル製ではない。将来的にはコンチネンタル製に切り替える方針だ。