日産によれば、エンジンがかかるタイミングはロードノイズなどがかなり高くなって、エンジンがかかっても分かりにくい速度領域に設定しているということだが、確かに注意していなければいつエンジンがかかったか分かりにくい。その意味で、これまでのHEV以上に、走っている感じはEVに近いと言える。

 もう1つ、ワンペダル運転についてだが、正直に言って筆者個人はアクセルから足を離すと強い減速度が加わることに、かなり違和感があった。アクセルから足を離しても空走しないので、何か重たいものを引きずって走っているようで、コンパクトカーとしての軽快さが感じられなかったからだ。ただこれも慣れの問題で、しばらく使っていれば、ワンペダル運転が手放せなくなるのかもしれない。

新ブランドは浸透するか

 日産がe-POWERをハイブリッドと呼ばない気持ちはよく分かるし、確かに従来のHEVとは違うと乗れば感じることもできるのだが、気になるのは環境技術全体のブランド戦略である。トヨタやホンダではハイブリッドが環境技術の代名詞のようになっているし、マツダは「SKYACTIV」という環境技術(実際には環境技術だけではないのだが)を浸透させることに成功している。

 これに対して日産はこれまで、環境技術を「PURE DRIVE」というブランドで訴求してきたのだが、これにはエンジンの改良やハイブリッド、クリーンディーゼルなどが含まれていて、全体としてのイメージが分かりにくかった。これに加えて、今回e-POWERという新しいブランドが導入されたわけで、消費者へのブランドの浸透、という観点からはいささか疑問が残る。

 せっかくe-POWERというブランドを導入したのだから、この際、EV、HEVも含めた電動パワートレーンを全部e-POWERブランドに統一するくらいのことが、消費者の認知度を高めるには必要だろう。ついでにいうと、前回のこのコラムで紹介した圧縮比可変エンジンも含めて改良型ガソリンエンジンは「g-POWER」、ディーゼルエンジンは「d-POWER」として、日産のパワートレーンは「POWER」ブランドで統一するくらいのことが必要だと思う。日産の2016年度までの中期経営計画の名称は「NISSAN POWER 88」だから相性もいいと思うのだが。