航続距離を400kmに伸ばしたルノー

 ルノーは、2012年に発売したEV「ゾエ(ZOE)」の航続距離を400kmに伸ばしたタイプをパリモーターショーに出展するとともに、同モーターショーの一般公開が始まった10月1日に受注を開始した。従来のゾエはバッテリー容量が22kWhで、航続距離が240km(NEDC)だったが、400km走行できるタイプは、搭載しているバッテリーの容量を41kWhと2倍近くに増やした。搭載しているバッテリーは韓国LGケム製で、日産リーフが日産とNECの合弁会社であるオートモーティブエナジーサプライ製のバッテリーを搭載しているのとは異なる。ただ、後席はシートの高さに対して床が高く、やや「体育座り」気味になってしまうのが気になった。

ルノーが出展した「ゾエ」。航続距離を従来の240kmから400kmに伸ばした
ルノーが出展した「ゾエ」。航続距離を従来の240kmから400kmに伸ばした

 このほか独BMWは、新型EVの出展はしなかったものの、展示ブースの中に広いスペースを割いて、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)を展示し、電動化車両に力を入れていることをアピールしていた。こうした欧州勢の急速な電動化への傾斜に対して、日本メーカーは対応が遅れ気味だ。これまで日本メーカーはハイブリッド車(HEV)の実用化で先行し、電動化では世界の先頭を走っている自負があった。

 ところが、今回のパリモーターショーでは電動化で先行する日本に対して、欧州勢がゼロ・エミッション車であるEVで猛反撃をしてきたという印象を受けた。見逃せないのは、完成車メーカーの動きもさることながら、その裏付けとしての国家戦略があるということだ。ドイツは、2050年までに電力の80%を太陽光や風力などの再生可能エネルギーに切り替えようとしているし、フランスはもともと原子力発電の比率が76%と高く、残りの水力や風力、バイオ、太陽光などが多くを占め、火力発電の比率は6%しかない(2015年)。このためEVの増加は、そのままCO2排出量の削減に結びつきやすい。

 翻って日本は、福島第一原子力発電所の事故の影響で、原子力発電の比率は2015年度で1%に過ぎない。これに水力発電や太陽光発電などを加えても16%にしかならず、発電の84%を火力発電に頼っている。こうした現状でEV化を推進しても、結局、火力発電所で燃やしている燃料が増えるだけ、ということになりかねない。

 欧州に加えて、これまで消極的と言われてきた米中さえもパリ協定を批准する中で、日本は11月4日に予定されているパリ協定の発効までに批准することが難しい事態となっている。これは、日本のCO2削減の方向が定まっていないことと無関係ではないだろう。国内メーカーは次世代のエコカーとして燃料電池車(FCV)に力を入れているが、現在のところ、世界の趨勢は違う方向に向かっている。

 筆者はこの連載の第5回第15回で、FCVの将来について懐疑的な見方を示してきたが、今回欧州メーカーの動きを見て、その懸念はますます強まったと言わざるを得ない。

まずは会員登録(無料)

有料会員限定記事を月3本まで閲覧できるなど、
有料会員の一部サービスを利用できます。

※こちらのページで日経ビジネス電子版の「有料会員」と「登録会員(無料)」の違いも紹介しています。

※有料登録手続きをしない限り、無料で一部サービスを利用し続けられます。

この記事はシリーズ「クルマのうんテク」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。