後輪駆動を採用した理由の1つとしてVWは高いスペース利用効率を挙げている。後輪のモーターは上下に薄く設計されているので、荷室の広さは通常のエンジン車と同等に確保されている。その一方で、フロントにはほぼ何もないので、前方ぎりぎりまで車室を伸ばすことができる。この結果、I.D.の全長はゴルフよりも短いにもかかわらず、室内スペースはゴルフの上級車種であるパサートに匹敵するという。

 また、I.D.は完全自動運転を目指す同社では初めてのコンセプトカーであり、自動運転の「I.D. Pilot モード」にすると、ステアリングがメーターの周囲に収納される。同社はI.D.で、完全自動運転技術の2025年以降の実用化を目指している。また、スマートフォンを「デジタルキー」として使うことを想定しており、この場合、ユーザー1人ひとりに「Volkswagen ID」が割り当てられて、それぞれの好みに応じたシートポジションや空調、ラジオ局やオーディオのセッティング、友人やビジネスパートナーの情報、ナビゲーションシステムの設定などを「Volkswagen Automotive Cloud」に登録できるようになるという。

ダイムラーのEVは4輪駆動車

 一方、ダイムラーが出展したEVのコンセプトカー「Generation EQ」も、やはり新規に開発されたEV専用のプラットフォームをベースとしており、前輪と後輪をそれぞれ独立したモーターで駆動する4輪駆動車となっているのが特徴だ。VWのI.D.がコンパクトカーを想定していたのに対して、Generation EQはスポーティなSUV(多目的スポーツ車)を想定しており、前後のモーターを合わせた出力は300kWで、航続距離は500kmに達するという。

ダイムラーが出展したEVのコンセプトカー「Generation EQ」
ダイムラーが出展したEVのコンセプトカー「Generation EQ」
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 ダイムラーは今後、EQという名称をEVのブランド名として展開し、2025年までに10車種のEVを市場に投入する計画だ。第一弾は今回出展したGeneration EQと同様にSUVとなる予定で、2019年の発売を予定し、VWと同様、同じクラスのエンジン車並みの価格にするという。同社は2025年までに世界販売台数の15~25%をEVが占めるようにすることを目指している。

 新開発のプラットフォームはホイールベースやトレッド(左右の車輪の幅)の自由度が高く、またこれに組み合わせるバッテリーなどの部品の組み合わせも自由な「ビルディング・ブロック・システム」になっており、SUV、セダン、クーペ、そのほか多様なモデルが、単一のプラットフォームから作り出せる。また、このプラットフォームは現在のダイムラーの量産車種と同様に、鋼板、アルミニウム合金、炭素繊維を組み合わせた「マルチマテリアル」構造を採用しているという。

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