筆者が最初にX2に興味を持ったのは、2年前の10月に開催されたパリモーターショーだった。BMWはこのショーに、X2の原型となるコンセプトモデル「Concept X2」を出展した。SUVでありながら、スタイリッシュで軽快なデザインが非常に魅力的に見え、商品化されるのを期待していたのだ。

もう一つのX2への興味は、BMWのFFプラットフォームがどの程度熟成されたかということだ。このコラムの第12回でも紹介したように、BMWは従来、すべての車種でFR(前部エンジン・後輪駆動)をベースとしたレイアウトを採用してきたが、Cセグメントの背高ワゴン車「2シリーズ アクティブツアラー」(国内では2014年10月発売)からFF(前部エンジン・前輪駆動)のレイアウトを採用し始めた。
この2シリーズ アクティブツアラーから採用を始めたFFレイアウトの「UKL2プラットフォーム」は、その後SUVのX1に採用されたばかりでなく、BMWの「MINI」ブランドの「CLUBMAN」や「COUNTRYMAN」、「CROSSOVER」といった同ブランドでは比較的大型の車種にも横展開されており、実際X1やこれらのMINIブランドの3車種はすべてホイールベースが2670mmで近縁関係をはっきりと示している。

さらに「MINI」ブランドのよりコンパクトな車種である「3 DOOR」や「5 DOOR」さらに「Convertible」には、ULK2プラットフォームの派生プラットフォームであるUKL1プラットフォームが使われており、いまやこれらのFF系プラットフォームはBMWグループを支える大黒柱的な存在になっている。
このコラムの第12回で触れたように、いまや世界的にX2が属するCセグメントではFFが主流である。BMWは世界的にも珍しく、Cセグメントのハッチバック車「1シリーズ」にFRレイアウトを採用してきたのだが、2019年にも登場すると見られる次期1シリーズは、2シリーズ アクティブツアラーやX1と同様にFFレイアウトに変更されると見られている。
ただし、2シリーズ アクティブツアラーやX1は、高い全高とスポーティーな乗り味を両立させるため、乗り心地をある程度犠牲にする足回りのセッティングになっている。現行型1シリーズはアクセルやステアリング操作に対する機敏な応答性と、しっとりとした乗り心地を高い水準で両立しているのが美点なのだが、次期1シリーズがFFレイアウトに変更されると、この美点が失われてしまうのではないかという危惧があった。
しかし最近、ULK1プラットフォームを使うMINIコンバーチブルに乗って、かなり良好な乗り心地を実現していることを体験し、全高の低い車種であればBMWのFFプラットフォームは操縦安定性と乗り心地を両立できるポテンシャルがあることが分かった。今回のX2はX1に比べると全高が65mm低い1535mmと、多くの立体駐車場に駐車可能な寸法に抑えられており、乗り心地の改善を期待していた。
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