もう一つ、新型インプレッサの欧州車的な乗り味を演出している要素として、コーナーでやや乱暴にステアリングを切り込んでいっても、車体がぐらりと傾くことが少なく、その傾く速度もコントロールされているので、安心してコーナーを抜けられることがある。こうした特性の実現に貢献しているのが「スタビライザーの車体への直付け」である。

リアサスペンションのスタビライザー(紫色の部品)は、サブフレームではなく、車体に直接取り付けられている
リアサスペンションのスタビライザー(紫色の部品)は、サブフレームではなく、車体に直接取り付けられている

 スタビライザーというのは、乱暴に言ってしまえば左右のサスペンションを結合する鋼製の棒である。コーナーで、例えば車体の右側が沈み込むと、その沈み込みを左側にも伝えて、車体のロールを抑える働きをする。ところが従来は、スタビライザーはサスペンションと一緒にサブフレームに取り付けられていた。サブフレームはゴムブシュを介して車体に取り付けられているので、スタビライザーで車体のロールを抑えようとしても、ゴムブシュのたわみの分、車体が傾くのを抑えることができなかった。

 これに対して、新型インプレッサでは、後輪のスタビライザーを車体に直に取り付けることで(実際にはスタビライザーと車体の間にもゴムブシュが挟まっているのだが、これは従来も同じ)、スタビライザーが車体の傾きを抑える効果が高まった。スタビライザーの太さは従来よりもむしろ減らしているということなので、サスペンションの動きの自由度を高めながらロールも抑えていることになり、このことも乗り心地と操縦安定性の向上に貢献している。

国産車初の歩行者用エアバッグ

 安全性の向上に力を入れているのも新型インプレッサの特徴だ。レヴォーグから搭載を始めた最新の運転支援システム「アイサイト(Ver.3)」(この連載の第6回参照)を全車に標準装備しているのもその一つだが、もう一つ注目されるのが、国産車では初めて、歩行者用エアバッグを装備することだ。しかも、こちらも全車標準装備である。

新型インプレッサは歩行者用エアバッグを全車標準装備する
新型インプレッサは歩行者用エアバッグを全車標準装備する

 スバルのベーシックモデルであるインプレッサにアイサイトと歩行者用エアバッグが標準装備されることは、スバル車全体の安全装備レベルを向上させることにもつながるはずだ。インプレッサが属するCセグメントで歩行者用エアバッグを装備する車種は、世界でもスウェーデン・ボルボの「V40」だけである。

 歩行者用エアバッグで難しいのは、歩行者が車両に衝突したことの検知だ。通常のエアバッグは、車体に取り付けた衝撃センサーで、他の車両や障害物と衝突したときの衝撃を検知して作動させる。ところが歩行者と衝突した場合の衝撃は、他の車両や壁などにぶつかったときよりもはるかに小さい。従って、従来のエアバッグ用センサーでは、歩行者との衝突を検知するのに不十分だ。実際、ボルボのV40では歩行者を検知するための専用のセンサーをフロントバンパーの裏側に多数取り付けていた。

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