このジュークが作った流れを、その後に発売された各社のBセグメントSUVも受け継ぎ、やはりクーペのようなフォルムを採用したヴェゼルや、コンパクトなキャビンに長いノーズを組み合わせたスポーティなプロポーションのCX-3はもとより、プジョー2008やルノーキャプチャーも、SUVらしからぬスポーティなデザインを採用している。

 そして、この成長市場に満を持して参入したのがVWグループだ。今回のアウディQ2は、ドイツ本国では2016年6月に発表されているのだが、これを皮切りに、VWグループのスペイン・セアトも年内に発売を予定する新型BセグメントSUV「アローナ」を2017年6月に発表した。さらに2017年8月には真打ちのVWブランドからもBセグメントの新型SUV「T-Roc」を発表している。いずれも非常に個性的なデザインが売り物だ。

BセグメントにMQBを採用

 このように、非常にホットな市場であるBセグメントSUV市場に投入されたQ2だが、技術的に興味深いのはVWグループの新世代モジュラープラットフォーム「MQB」を、Bセグメント車としては初めて採用したことだ。Q2に続き、VWグループでは先ほど挙げたT-Rocやセアト・アローナ、さらにSUVではないが、先程紹介した新型「ポロ」などのBセグメント車が続々とMQBを採用する。

 MQBは2012年に発表されたアウディ「A3」を皮切りに、Cセグメント車以上では主力車種の「ゴルフ」をはじめ、CセグメントSUVの「ティグアン」、Dセグメント車「パサート」など多くの車種に採用されているが、Bセグメントへの展開はA3の発表から約4年かかった計算になる。

 基本的な車体構造を見ると、Q2の車体構造は、ほぼCセグメント用のMQBの特徴を踏襲している。MQBではホットスタンプ材と呼ばれる高張力鋼板の採用を大幅に増やしたのが特徴の一つだった。これは、鋼板を900℃程度まで加熱して、水冷したプレス金型で成形する手法で、金型内で鋼板が急冷されるため、一種の「焼入れ」のような効果が生じ、引っ張り強さ1500MPaという非常に高い強度の高張力鋼板が得られるのが特徴だ。

アウディQ2の車体構造。濃いグレーの部分がホットスタンプ材を使った個所。濃いオレンジと薄いオレンジの部分が通常の高張力鋼板、薄いグレーが軟鋼板の使用個所だ(写真提供:アウディ)
アウディQ2の車体構造。濃いグレーの部分がホットスタンプ材を使った個所。濃いオレンジと薄いオレンジの部分が通常の高張力鋼板、薄いグレーが軟鋼板の使用個所だ(写真提供:アウディ)
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 通常の高張力鋼板では、強度を上げていくと硬くなり、ばね材の特性に近づくため、曲げても形状が元に戻ろうとする「スプリングバック」という現象が生じ、成形しにくくなる。これに対してホットスタンプ材では、通常の軟鋼板を加熱して成形し、急冷して強度を高めるので、成形のしやすさと高い強度を両立できるというメリットがある。ただし、鋼板を加熱する設備や、水冷金型が必要で設備投資がかさむため、国内メーカーの使用は限定的だ。

 VWに限らず、欧州メーカーは車体の軽量化のためにホットスタンプ材の採用に積極的で、MQBでは車体骨格の28%にホットスタンプ材を使っている。この方針は、コストの制約がより厳しいBセグメント用MQBにも継承されたようだ。また、ホットスタンプ材はセンタートンネルや、後席の下に横方向に配置された補強材など、車体の「背骨」を構成するような部分に使われており、材料だけでなく骨格の構造もCセグメント用MQBに近い。

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