やや気になるアクセルの応答性

 また、車体との組み合わせもあるのでエンジンだけの改良とはいえないが、エンジン騒音がかなり抑えられているのも印象的だった。気になったCVTの特性だが、エンジン回転だけが先に上がって、それに車体の加速が遅れるような場面は少なく、CVTの嫌らしさは皆無とは言わないものの、普通の走り方ではほとんど気にならないレベルだ。

 多少気になったのは、例えば高速走行時に加速が必要になってアクセルを踏み込んでから加速が立ち上がるまでの時間が、やや長く感じたことだ。今回試乗したカローラスポーツでは「エコ」「ノーマル」「スポーツ」の三つの走行モードが選べ、主にノーマルで走行していた。この遅れがターボラグなのか、CVTの特性によるものかは判別しにくかったのだが、最近のターボエンジンはターボラグをほとんど感じることがなくなっていたので、この点はやや意外だった。

 新世代のトヨタ・セーフティ・センスで新たに搭載された運転支援機能「LTA(レーン・トレーシング・アシスト)」も試してみた。これは、車線の中央を維持するようにステアリング操作をアシストするもので、これと「レーダークルーズコントロール」を組み合わせれば、日産の「プロパイロット1.0」とほぼ同等の「自動運転機能」を実現できる。ただしトヨタは同機能を自動運転とは呼ばず、あくまでも「運転支援機能」と位置づけている。

 動作させてみると、動作は自然で、先行車両に近づいたときのブレーキのかけ方も「じわり」という感じで不安感が少ない。ただ、注意して動作状態を観察すると、非常に細かくステアリングを左右に切って進路を制御していることが感じ取れる。これは他社のシステムでも同じなのだが、トヨタのシステムはステアリング操作の回数がやや頻繁な印象で、今後の改良で、より滑らかな動作になることを期待したい。 

 燃費は非常に良好だった。今回の試乗では燃費計の読みで、高速走行では22km/L、市街地走行では14km/Lを記録した。この値は、同様に排気量1.2Lの直噴ターボエンジンを搭載するドイツ・フォルクスワーゲンの「ゴルフ」や、フランス・プジョーの「308」などと比べても同等以上の値といえる。燃費の面ではCVTの有利さが出ているようだ。

 全体として、新型カローラスポーツは欧州の競合車との距離を一気に縮める意欲作と感じた。乗り心地と操縦安定性を高い水準でバランスしている点、出来のいいシート、個性と先進性を感じさせる外観デザイン、十分な出力と良好な燃費を達成するパワートレーンなど、久しぶりに降りたくないと感じさせるクルマだった。

 細かい点でいえば、ボディの剛性“感”、ドアハンドルの質感(欧州の競合車種はもっと太くて頼りがいのある形状をしている)、後席に座ったときにやや閉塞感を感じる点(大人2人のためのスペース自体は広々とはいえないまでも確保されている)など、欧州の競合車種に比べると改良の余地はあるものの、商品としては魅力的に仕上がっていると思う。

 これまで、このクラスの国産車では、マツダ「アクセラ」やスバル「インプレッサ」が魅力度の点で一歩リードしていたが、これらに比べると新型カローラはいかつい外観に似合わぬ「癒し系」のキャラに特徴がある。普段の生活の中で、自然体で疲れを感じずに付き合えるパートナーの有力候補になりそうだ。

 トヨタ自動車は、2018年1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES 2018」で、モビリティ・サービス専用の自動運転EVのコンセプト車「e-Palette Concept」を発表しました。2020年に実証実験を開始することを目指しています。日産自動車も2018年3月に自動運転EVを使ったモビリティ・サービス「Easy Ride」の実証実験を横浜・みなとみらい地区で実施しました。トヨタや日産だけではありません。いま世界の完成車メーカーはこぞって「サービス化」に突き進んでいます。それはなぜなのでしょうか。

 「EVと自動運転 クルマをどう変えるか」(岩波新書)は、当コラムの著者である技術ジャーナリストの鶴原吉郎氏が、自動車産業で「いま起こっている変化」だけでなく、流通産業や電機産業で「既に起こった変化」も踏まえて、自動車産業の将来を読み解きます。自動車産業の変化の本質はEVと自動運転が起こす「価値の革新」です。その全貌を、ぜひ書店でご確認ください。