国内仕様が採用している1.2Lターボエンジンは、いわゆる「ダウンサイジング」の思想に基づいて設計されたもので、その考え方は「排気量を小さくして燃費を向上させ、低下した出力はターボで補う」というものだ。しかし、国内仕様と米国仕様のカローラスポーツを比較して見えてきたのは、自然吸気エンジンでも上手に設計すれば出力でも燃費でも同等以上の性能を発揮できるという事実である。

 ただし、もちろん1.2Lターボエンジンにもメリットはある。まず挙げられるのは軽量であることで、米国仕様と比べると約80kgも軽い。またこれはコストの差ということではないかもしれないが、米国仕様と日本仕様では、ベース価格も日本仕様のほうが安い。それに、自動車税はエンジンの排気量で決まるので、2.0Lエンジン車よりも1.2Lエンジン車のほうが安く上がるのもメリットといえるだろう。ただ、日本仕様で、最新世代のエンジンとCVTを組み合わせた仕様を選べないというのは、カローラスポーツで残念な点といっても差し支えないだろう。

印象的な乗り心地の良さ

 さて、今回も前置きが長くなったのだが走り出してみよう。今回試乗したのは、ガソリンターボ仕様でも最もベーシックな「G“X”」というグレードである。この仕様、アルミホイールも履かない、室内のドアハンドルもメッキされていないという一見地味なグレードではあるのだが、オートエアコンは標準装備で、パーキングブレーキも電動式。しかも極めつけは、最新の「トヨタ・セーフティ・センス」も標準装備している。これで213万8400円というプライスタグはお買い得に感じる。

 走り出して最も印象的だったのはその乗り心地の良さだ。このグレードのタイヤが195/65R15という扁平率の低いタイヤだったこともあるだろうが、低速から高速まで、段差を乗り越えたときの衝撃を柔らかく丸め込み、しかも減衰も早い。これに加えて、シート表皮も感触の柔らかい素材でできているので、かなり癒し系の乗り心地と感じる。

 かといって、運動性能を犠牲にしているわけではない。タイヤはグリップよりも燃費性能を重視したタイプなので絶対的な限界性能は低いが、高速でのコーナリング中も車両の姿勢は安定している。これは、このカローラで採用した新開発のダンパーも貢献しているはずだ。このダンパーは、段差を乗り越えたときなど、急激にダンパーが縮むようなときの減衰力は低くする一方で、コーナリング中のようにゆっくりとダンパーに縮む力が加わったときの減衰力を大きくするという特性をもたせたもの。

ゆっくり動作するときの減衰力は下げ、速く動作するときの減衰力は上げた新型ダンパーの特性(資料:トヨタ自動車)

 従来は、コーナリング特性を向上させるためにゆっくり縮むときの減衰力を上げようとすると、速く縮むときの減衰力も上がってしまうため、乗り心地が悪化して、操縦安定性と乗り心地の両方を向上させることが困難だった。新型ダンパーは、ピストン・バルブやオイルを改良することで、乗り心地と操縦安定性の両立が可能になったという。

 今回試乗したカローラスポーツに搭載している1.2L直噴ターボエンジンとCVTの組み合わせは、このコラムの第26回でも、2代目オーリスに新搭載されたときに紹介しているのだが、エンジンの形式などは同じでも、だいぶ改良されていると感じた。一番大きな違いは、出力やトルクを維持しながら、2代目オーリスではハイオクガソリン仕様だったのがレギュラーガソリン仕様になったことで、燃料コストという観点では朗報だ。