じつはこのカローラスポーツで、筆者が大きな勘違いをしていたことがあった。それは、このカローラスポーツに、トヨタの最新のCVT(無段変速機)である「Direct-Shift CVT」が採用されると思っていたのだ。この新世代CVTについてはすでにこの連載の第104回で紹介しているのだが、発進時にベルトではなく歯車で動力を伝えることによって、通常のAT(自動変速機)のようにエンジンの回転数の上昇とクルマの加速が連動するリニアな加速感が得られるのが特徴だ。アクセルを踏み込むと、まずエンジンの回転数が上がり、それに遅れて車体の加速が始まる、CVT独特のリニア感の乏しい加速フィール、いわゆる「ラバーベルトフィール」を解消できる技術として筆者も注目していた。

大いなる勘違い

 じつはこの104回の記事を書いたあとに、あるトヨタ関係者が「あの記事は間違っている」と指摘してきたのだ。Direct-Shift CVTを最初に採用するのは、この記事に書いてあるレクサスの新型コンパクトSUV「レクサスUX」ではなく、カローラスポーツだというのだ。だから筆者は今回、わざわざカローラスポーツのハイブリッドではない仕様を借り出し、トヨタの新世代CVTの感触を確かめようと思っていた。ところが、である。よく調べてみると、国内向けのカローラスポーツの直列4気筒・1.2L直噴ターボエンジンに組み合わされる変速機は、新世代CVTではなく、従来からの「Super CVT」だったのだ。

 ではそのトヨタ関係者の指摘は間違っていたのか。そうではない。実はカローラスポーツはすでに、国内だけでなく米国でも販売されている(現地ではカローラハッチバックと呼んでいる)のだが、ガソリンエンジン仕様車のみでハイブリッド仕様は用意されない。しかも、そのガソリンエンジンは国内仕様のような1.2Lターボではなく、2.0L自然吸気エンジンなのである。この2.0Lエンジンに、新世代CVTが組み合わされているのだ。

性能はほぼ互角

 この2.0Lエンジンは、トヨタが「Dynamic Force Engine」と呼ぶ、TNGA思想に基づいて骨格から新設計した新世代エンジンで、最大熱効率40%という、ガソリンエンジンとしては最高水準の値と、全域でのトルク向上を実現しているものだ(同エンジンについてはこちらに詳しい)。くやしまぎれに、国内向けの1.2Lターボ仕様と、米国向けの2.0Lエンジン仕様を比較してみると、かなり興味深い結果になった。簡単にいえば、米国向けの2.0Lエンジン仕様車は、1.2Lターボ車を出力で上回るだけでなく、燃費でもほぼ同等の性能を性能を示した。

国内仕様と米国仕様のカローラスポーツの比較
(日米トヨタの資料を基に筆者作成)

 ご存知のように、米国と日本では単位の体系が異なるため、すべて日本の単位に換算している。しかし燃費の値は、国内仕様のカローラスポーツの値はWLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)と呼ばれる基準で測定したものであるのに対して、米国仕様のカローラスポーツは、米国基準で測定した値なので、厳密な比較はできない。

 それでも、米国仕様のカローラは市街地燃費で国内仕様を上回り、逆に高速燃費では国内仕様が上回っているところから見ると、実力としての燃費性能は大差ないと考えていいだろう。ちなみにWLTPとは、現行のJC08モード燃費に代わって2018年10月から表示が義務付けられる新しい燃費測定基準で、これまで異なっていた国ごとの測定法を統一したものだ。