それがいつしか「プリウス」や「アクア」といったハイブリッド車(HEV)に国内市場での主役の座を奪われ、地味な存在になっていた。その理由の一つは、日本のカローラが国内向けのローカルなモデルになってしまったことだ。カローラというクルマ自体は、現在でもトヨタの世界販売の屋台骨である。

 やや古いデータになるが、2015年のカローラの世界販売台数は約134万台と、同じ年のトヨタの世界販売台数919万台の14.6%を占め、依然として最も販売台数の多い車種であり続けている。2015年までの時点で、創業以来のトヨタの総販売台数の5台に1台をカローラが占めるという。トヨタで1番であるだけでなく、2017年の世界販売台数で、ホンダ「シビック」やフォルクスワーゲン「ゴルフ」をしのぎ、世界で最も売れている車種がカローラだ。

国内向けはローカルなモデルに

 ところが、この134万台という世界販売台数のうち、日本市場での販売台数は11万台と1/10以下に過ぎない。カローラにとって日本は、小さなローカル市場に過ぎなくなった。最も販売台数の大きいのは41.1万台を販売する米国と、30.6万台を販売する中国で、この2カ国で半分以上を占める。そしてカローラは10代目以降で、国内向けカローラと海外向けカローラが別のモデルになり、国内向けカローラは「カローラアクシオ」の名称で販売されるようになった。海外向けカローラは全幅が1.7m以上の3ナンバーモデルになり、採用されるプラットフォームも新世代のものに一新されたが、国内向けの10代目カローラは、5ナンバーの車体寸法を維持するため9代目カローラのプラットフォームを改良して流用し、エンジニアリング的に日本のカローラは海外向けと比べて1世代前のモデルになってしまった。

 そして次の世代の11代目カローラ(国内向け)は、さらに海外向けとの距離が離れてしまう。3代続けてのプラットフォームの流用は難しく、かといって海外向けカローラのプラットフォームは全幅が5ナンバーサイズに収まらないため、使えるプラットフォームがなくなってしまったのだ。そこで苦肉の策として国内向けの11代目カローラは、1クラス下の、「ヴィッツ」などに使われているBセグメント向けのプラットフォームを改良して用いることにした。

 もともとは1クラス下の車種向けに開発されたプラットフォームだけに、カローラ向けに採用するにあたっては車体の補強に苦労したと、11代目カローラの発表イベントで開発担当者は話していた。さらにいえば国内向け11代目カローラの開発で主体となったのは、生産も担当した関東自動車工業(当時、現在のトヨタ自動車東日本)であり、トヨタ本体ではなかったことからも、国内向けカローラが、もはやトヨタのメインストリームの車種ではなくなったという印象を受けた。

TNGAでプラットフォームを一新

 これに対して、今回登場したカローラスポーツは12世代目のカローラということになる。これまで国内向けカローラの呪縛となってきた5ナンバーの制約から解き放たれ、1790mmという、世界のCセグメント車の標準的な全幅の車体となった。ちなみに、競合するマツダ「アクセラ」の全幅は1795mm、スバル「インプレッサ」が1775mmとなっている。全長はアクセラの4470mmやインプレッサの4460mmよりも100mm程度短い4375mm、全高もアクセラの1470mmやインプレッサの1480mmよりも低い1460mmとなっており、比較的コンパクトな車体寸法だ。

 プラットフォームはようやくトヨタの最新の車両技術「TNGA(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」に基づく「GA-Cプラットフォーム」になった。このプラットフォーム自体はすでに、現行型「プリウス」や、SUV(多目的スポーツ車)「C-HR」に採用されているが、車両の開発時点が新しいだけに、より改良されているという。