ホンダは今回の新型シビックの投入を機会に英国の生産体制を見直しており、英国ホンダはシビックのハッチバックを世界に供給する拠点として再編成された。欧州向けJazzの生産は、現在は日本の寄居工場に移管されている。なので生産上フィットに近い構造を採用する必然性はなくなった。それに新型シビックでは走行性能を高めるため、重心を下げ、ドライバーの着座位置も低くしている。ドライバーシートの下に燃料タンクを置くセンタータンクレイアウトではドライバーのシート位置を下げるのに限界があった。実際、新型シビックでは、ハッチバック同士の比較で25mm(先代と新型のType-R同士の比較)、先代からセンタータンクレイアウトではなかったセダン系でもドライバーのヒップポイントを新型では20mm下げている。

セダンでは全長が95mm伸び、ドライバーのヒップポイントは20mm下げられた(写真:ホンダ)
セダンでは全長が95mm伸び、ドライバーのヒップポイントは20mm下げられた(写真:ホンダ)
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 セダン系とハッチバック系で統一したことに加え、このプラットフォームのもう一つの注目点は、新型アコードと共通化すると言われてきたことだ。新型アコードもすでに米国では発表されているのだが、シビックのようなCセグメント車と、アコードの属するDセグメント車のプラットフォームを統一するのはすでに自動車業界の流れになっている。例えば独フォルクスワーゲン(VW)の「MQB」や、スバルの「スバル・グローバル・プラットフォーム(SGP)」、マツダの「SKYACTIV-Body」などではCセグメント車とDセグメント車のプラットフォームの基本構造を統一している。

 ホンダはこれまで、他社に比較してプラットフォームの統合にあまり熱心ではなかったが、今回の新型プラットフォームは、シビック、アコードのほかに、国内では未発売の新型「CR-V」にも使われており、今後採用車種はもっと増える可能性がある。ただ、新型シビックの開発責任者である松本英樹氏によれば、新型アコードのプラットフォームと基本的な構造の考え方は同じだが、共通部品そのものはそれほど多くないという。このあたりは、設計思想の共通化を重視して、部品の共通化はあまり重視しないマツダの考え方に近いのかもしれない。

235mmも長くなったハッチバック

 車体は大きくなった。セダンは全長が先代よりも95mmも長い4650mmと、5ナンバー枠の4700mmに近づいている。全幅に至っては先代より45mm広い1800mmもあり、昔のシビックのイメージだと車庫に入らない、という往年のユーザーもいそうだ。全体のサイズ感としては、筆者のような古い人間から見ると、シビックというよりアコードに近い。

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