びっくりするのは、ベーシックなグレードであるにもかかわらず、オートエアコンが標準装備されることだ。また運転支援システムの「Honda SENSING」も標準装備されるから、自動ブレーキや車線逸脱警報などの機能を備えている。これらの機能は幸いにも作動することがなかったが、メータの中にカメラが読み取った速度制限の標識が表示されたり、停車時に先行車が発進したのを教えてくれたりしたのには驚いた。

もっともベーシックなグレードである「G」にもオートエアコンが装備される
もっともベーシックなグレードである「G」にもオートエアコンが装備される

 少なくとも市街地で走っているぶんにはエンジンの出力は十分だ。静粛性は、さすがに乗用車のN-BOXにはかなわないが、ラジオを聞いたり、同乗者と会話を交わすのに十分な静粛性は確保されている。競合する他の軽バンに比べれば、騒音レベルにかなり抑えられている。筆者の好みからいえば、これくらいエンジン音があったほうがクルマを運転している実感があっていい。

 最大積載量350kgという商用車だから、足回りは相当硬いのではないかと覚悟していたが、乗り心地は悪くない。道路のつなぎ目を乗り越えても、きちんと角を丸めて伝えてくるから不快感はない。片側のセンターピラーのない構造なのでボディ剛性も気になるポイントだったが、「強固」とはいえないまでも、十分な剛性は確保されている。道路の突起を乗り越えたときのドシンバタンというようなだらしない振動を伝えてくることはない。

 ハンドリングは、こういうクルマの特性に合わせ、やや鈍感なセッティングになっている。ステアリングを回し始めてからの車両の反応もゆっくり目だ。重い荷物を積んでいるときに、クルマの急激な姿勢変化は危険だし、このクルマに乗ってカリカリとコーナリングを攻める人もいないだろうから、これはクルマのキャラクターに合ったセッティングだと思う。少なくとも、街中で運転している限り、クルマの挙動は自然で違和感がなく、運転しているうちに、自分が運転しているということがだんだん意識に上らなくなってくる。このくらい自然に運転できるクルマなら、長時間運転しても疲労は少ないだろう。

 一方で、高速道路に乗り入れるとやや注文をつけたいところも出てくる。というのも、時速100kmのときには6速MTを駆使してもエンジン回転数は4000rpmに達し、騒音レベルがかなり高まるからだ。この状態でも同乗者との会話が不自由なほどではないが、最近のクルマの静粛性が高まっているのに比べると、うるさいと感じるユーザーは多いだろう。これは、重い荷物を搭載したときのためにギア比が低く設定されているためだ。

 例えば同じ時速100km走行でも、兄弟車種のN-BOXなら3500rpm程度に抑えられるから静粛性ではかなり差がある。N-VANにはCVT(無段変速機)仕様も用意されており、そちらがたぶん販売の主力になるだろう。CVT仕様には今回は試乗していないのだが、変速比などを計算するとCVT仕様でも時速100kmで走行時のエンジン回転数は3900rpm程度になるので、エンジン騒音に関しては大差ないと思われる。もっともこれも乗用車と比較しての評価であり、競合する他の軽バンに比べれば、静粛性はずっと高い。

 これがN-VANでもターボ仕様になると、時速100km走行時のエンジン回転数は3000rpm程度まで抑えられる。だから、N-VANの自然吸気エンジン仕様でも高速走行ができないというわけではないのだが、高速走行の機会が多い、長距離を移動する、というユーザーはターボ仕様を選んだほうがいいと思う。なにしろターボ仕様は自然吸気仕様より10万円しか高くないバーゲン価格が設定されているのだから。

 トヨタ自動車は、2018年1月に開催された世界最大級の家電見本市「CES 2018」で、モビリティ・サービス専用の自動運転EVのコンセプト車「e-Palette Concept」を発表しました。2020年に実証実験を開始することを目指しています。日産自動車も2018年3月に自動運転EVを使ったモビリティ・サービス「Easy Ride」の実証実験を横浜・みなとみらい地区で実施しました。トヨタや日産だけではありません。いま世界の完成車メーカーはこぞって「サービス化」に突き進んでいます。それはなぜなのでしょうか。

 「EVと自動運転 クルマをどう変えるか」(岩波新書)は、当コラムの著者である技術ジャーナリストの鶴原吉郎氏が、自動車産業で「いま起こっている変化」だけでなく、流通産業や電機産業で「既に起こった変化」も踏まえて、自動車産業の将来を読み解きます。自動車産業の変化の本質はEVと自動運転が起こす「価値の革新」です。その全貌を、ぜひ書店でご確認ください。

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ウェビナー開催、「なぜ世界はEVを選ぶのか」(全2回)

 日経ビジネスLIVEでは2人の専門家が世界のEV事情を解説するウェビナーシリーズ(全2回)を開催します。

 9月30日(金)19時からの第1回のテーマは「2035年、世界の新車6割がEVに 日本が『後進国』にならない条件」。10月14日(金)19時からの第2回のテーマは「欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線」です。各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。


■第1回:9月30日(金)19:00~20:00(予定)
テーマ:2035年、世界の新車6割がEVに 日本が「後進国」にならない条件
講師:ボストン コンサルティング グループ(BCG)マネージング・ディレクター&パートナー滝澤琢氏

■第2回:10月14日(金)19:00~20:00(予定)
テーマ:欧州電池スタートアップのCTOが現地報告、巨大市場争奪の最前線
講師:フレイル・バッテリー(ノルウェー)CTO(最高技術責任者)川口竜太氏


会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
主催:日経ビジネス
受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。

>>詳細・申し込みはリンク先の記事をご覧ください。