従来の軽バンで一般的だった荷室や運転席の下にエンジンをレイアウトする構造では、運転席は車体の前端に押しやられるため、足元にはタイヤハウスが大きく張り出し、運転姿勢は不自然になる。フロアが高いので、運転席の位置は高くなり、乗り降りもしにくい。このため、特に女性ユーザーからは使いにくい、運転しにくいという声が寄せられていた。そこでN-VANでは従来の軽バンが荷物偏重だったのを改め、荷物と人間を同じくらい重視することを設計思想として掲げた。そこで出てきたのが、FFレイアウトの採用によって自然な運転姿勢・運転感覚を実現することだった。

 一方でFFレイアウトを採用すると、運転席の位置は後ろに下がるので、荷室の長さは短くなる。実際、N-VANの荷室の長さは1585mmと、従来のアクティバンに比べて355mmも短い。しかしFFレイアウトには利点もある。それは、荷室の下にエンジンがないので床面を下げられることだ。床面が低いぶん、N-VANの荷室高さ(ハイルーフ仕様)は1365mmと、アクティバンよりも165mmほど大きくできた。このため荷物の積載量で比較すると、2人乗車時でダンボール箱(380×310×280mm)をN-VANは71個積めるのに対し、アクティバンは58個、同様にビールケース(447×364×315mm)は40個に対し36個と、いずれもN-VANのほうが多く積めるという。

N-VANはFFレイアウトを採用することで、低い床面を実現し、従来のアクティバンよりも高い積載性能を実現した(資料:ホンダ)
N-VANはFFレイアウトを採用することで、低い床面を実現し、従来のアクティバンよりも高い積載性能を実現した(資料:ホンダ)
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 それでも、長いものが積みたいというニーズに対しては奥の手を用意している。それは折りたたむとフラットな荷室になる「ダイブダウン機構付き助手席」を採用したことだ。後部座席と助手席を折りたたむと、運転席以外のスペースがすべてフラットになり、最大の荷室長は2635mmに達する。これによりコンパネだけでなく、脚立やカーペット、ソファなど長尺の荷物の積み込みに対応できる。

後部座席だけでなく、助手席も折りたたんでフラットに収納することができ、運転席以外のスペースをすべて荷室として活用できる(写真:ホンダ)
後部座席だけでなく、助手席も折りたたんでフラットに収納することができ、運転席以外のスペースをすべて荷室として活用できる(写真:ホンダ)

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